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 夕飯の後、璃音が作ったアイスクリームを皆で食べ比べた。  それぞれが美味しく、瑠維が一番好きな味のものばかりだったので、喜んで貰えたのが璃音は嬉しかった。  心を込めて一生懸命作ったから、両親も瑠維も舌鼓を打ってくれた事が何より嬉しく、璃音はニッコリと笑った。 「すごく美味しかった。  今度は兄ちゃんと作ろうな?」  後片付けをしながら瑠維が言うと、璃音ははにかみながら頷いた。 「イチゴのも作っていい?」 「ん」 「ブルーベリーのも?」 「いいよ  璃音はベリー系の味が好きだもんな。  そうだ、作り方のメモくれよ。  今度璃音が熱出したら、アイス作ってやるし。」 「ホント?絶対だよ?  甘甘大王をフォークで潰したのに、ラメールの味のバニラのっけてね?」 「ああ、絶対作ってやっからな?」 「やったぁ」  瑠維の言葉に璃音が満面の笑みになっていく。  実際、璃音の希望は程なく叶った。  一週間後に高熱を上げて倒れ、瑠維お手製のアイスクリームを食べさせて貰ったのだから。  勿論、甘甘大王も添えられていたのは、言うまでもない…。 「おいしい…」  高熱にうかされて、真っ赤な顔でアイスクリームを口に含んだ璃音は、蕩けそうな顔になった。 「瑠維のアイスクリームは、優しい味がするね…」  食欲が落ちていても、瑠維の作ったアイスと、一部のフルーツだけは受け付ける璃音。  雛鳥のように口を開けて待っている璃音は、瑠維にとってこの上なく可愛かった。 「もう少したべるう…」 「冷たい物ばっかりだと、お腹痛くなるだろ?」 「おねがい、もう一口だけ…」 「しょうがないなあ…」  困った顔をしながらも、内心はまんざらでもない瑠維。  自分の作った物だけを喜んで食べてくれる弟が、可愛くない訳がない。  高熱を上げる度、瑠維が作ったアイスクリームを食べた璃音。  瑠維も、弟の口に合うように、バニラ味のものだけではなく、ベリー系のものやキャラメルを練り込んだ物を作るようになった。  時折、幼い璃音に瑠維が焦れ、焦れた瑠維を恐れた璃音が夢遊病を起こす以外は、平和に過ごせていたのだ。  瑠維が倒れて入院するまでは…。

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