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「龍嗣…?」  龍嗣に言い聞かせるように、ゆっくり璃音は額を擦りつける。  気持ちが通じたからこそ、腕の中から離したくない龍嗣の気持ちも判るのだが、瑠維や弓削の気持ちも判るのだ。  だからこそ、余計に条件がきつくなれば、もっと龍嗣は我が儘になってしまう。  我が儘になれば、ますます制限は増える。  それは避けたいところだ…。  大体、スキンシップが制限される原因は自分にあるのだから、自分が龍嗣を納得させなければいけない…、璃音はそう思った。 「…龍嗣?」  間近で真摯に見詰める璃音に、龍嗣はじっとしている。  二人と一匹も、固唾を飲んで璃音の様子を見るしかない。 「僕…龍嗣に沢山我慢させてるの、凄く辛い。  僕の成長待ちで、龍嗣が焦れ焦れするのが我慢出来ないなら、僕、成長しなくていい。  治療もやめよう?」 「………駄目だ」 「じゃあ、どうするの?  昨日の夜、龍嗣言ってくれたよね? 『愛してる。  ここまで深く愛したのは君だけだ。  こんなに夢中にさせた責任取れ。  しっかり成長して、もっと私を悦ばせろ。  早々に死ぬなんて、絶対許さない。  いっぱい生きろ。  殉教じみた生き方をしないで、いっぱい生きて、私の愛を貪れ。』って言ってくれたよね?  僕、凄く嬉しかったよ…。  でも、やっぱり我慢出来ないんなら、白川先生のとこの治療、やめちゃお?  そしたら、僕も今すぐ目一杯龍嗣に抱いて貰えるもん。  我慢、やめよう?」 「………」 「弓削さんや、皆を困らせてまで、僕、長生きしなくていい。  ね、今すぐ抱いて?  龍嗣のこと、いつだって好きだし欲しいもん」  胸元の釦を外して自分のワイシャツをはだけると、璃音は龍嗣のワイシャツもはだけた。 「我慢しなくていい。部屋に行こ?」  一生懸命伸び上がり、龍嗣の額に口づけ、璃音は尚も続ける。 「ね?我慢やめよう?」  璃音がもう一度、捧げる様に額に口づけた所で、龍嗣がため息を一つ零した。 「………負けたよ。  治療止めるなんて、嘘でも言うな…」  璃音のこめかみに口づけると、龍嗣は腕を緩める。 「ありがと、聞き分けてくれて…」  龍嗣の唇を軽く啄み、璃音は穏やかに微笑んだ。  途中、璃音にしてはかなり過激な台詞もあったのだが、二人と一匹は聞き流す事にした…。

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