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 隣の椅子に移り、璃音は龍嗣の顔を見上げた。 「ごめんね、龍嗣。  いつまで…って、期限がない我慢させちゃうの、僕…凄く辛いよ。  だから、一日でも早く龍嗣好みの体になれるように頑張るから…、ね?」 「今でも充分好みなんだがな…。  この細い腰とか、肉付きの薄い肩とか…。  でも、今まで以上に私好みの体になってくれるのなら、期待してるよ」  クスクス笑いながら、龍嗣は璃音の額に口づけを落とし、璃音は龍嗣の頭を撫でた。 『………結局、オッサンの我が儘は、璃音の甘やかしが原因なんじゃ…?』  忌ま忌ましげに、瑠維は苺を頬張る。  弓削と猫も、龍嗣の大人げの無さと璃音の甘やかしっぷりに呆れつつ、先ずは龍嗣が聞き分けた事にホッとした。  後で、璃音に龍嗣の上手な転がし方を仕込んでおかねばなるまい…。  弓削はテーブルの下で拳を握ったのだった。  朝食を済ませ、リビングでくつろいでいると、瑠維が洋服らしき物が入っている袋を璃音に差し出した。 「ん…?なあに…?」 「来月学園祭だろ?お前の担任から預かって来たんだけど」 「何だか嫌な予感がするのは僕だけかな…」  ガサガサと、袋の中身を取り出すと、和服、黒いブラウスとスカート、白いフリル付きのエプロン、白のニーハイソックス等が出てきた。 「………」  見なかった事にして、袋に戻そうとする。 「お前のクラス、三日間日替わりカフェするって言ってだぞ?」 「………日替わり…?」 「初日が明治維新、二日目が時代劇、最終日が執事・メイドカフェだとさ」  さっくり聞き流そうとする璃音に、弓削が疑問をぶつけた。 「執事・メイドカフェなら、執事なのでは…?」 「女子が執事で、男子がメイドっつってたな…」  聞かなかったことにして、璃音が袋を閉じる。 「と言うことは…」 「こいつ、三日間女装決定」  瑠維が微妙な顔で断言した。  璃音が脇によけた袋の中身を改め、弓削が携帯電話を取り出す。 「総一、私です。  まりあと依留を連れて来て貰えませんか?  レースやフリルにできそうな物と、ミシンもお願いします。  ああ、黒のエクステも多めでよろしく」  素早く切ると、にっこり笑った。 「同じするなら徹底的に可愛らしくいたしましょうね?」  それは、悪魔の微笑にも見えた。

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