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 弓削から召集をかけられた総一が、依留とまりあを伴って現れたのは、一時間半後だった。  弓削に誘導されて、荷物をリビングに搬入する。  大型のバスケットにはミシンや布地、レース等が。  もう一つのバスケットには、ヘアメイク道具や、化粧品が沢山入っていた。 「よう、璃音」 「あれ?総一さんとまりあさんだ…」  璃音が籍を置いているゼミの二人…青海総一郎(おおみ そういちろう)と白井まりあ、後ろにいるのは龍嗣の秘書の御崎依留(みさき える)だった。 「俺達みんな、忍と従兄弟なんだよ。  知らなかったろ?」  ニカッと笑い、璃音の頭をガシガシ撫でる。  無意識に嫉妬しても我慢に徹する龍嗣の手に、璃音はこっそり手を重ねた。 「………っ」  子供特有の手の高い体温が龍嗣に安心感を与え、波立つ気持ちを落ち着かせていく。  小さな手なのに、与えてくれる安心感は絶大で。  さりげなく龍嗣と視線を合わせ、ニッコリ微笑んだ璃音は、重ねた手をずらし、指を絡めた。 「初めまして。  璃音くんと同じゼミに所属している、青海総一郎といいます。  ………そっか…、璃音の番いの相手は、あなたでしたか…」  総一が、少し複雑そうな顔で繋いだ手を見る。 「なんつーか、その…、かなりエロ魔神だって言うし、璃音をかなりの悪食だとか言って本家のじーさん達も色々煩いから、凄く心配してたんだけど…。  璃音、結構趣味いいんじゃねーの?  大事にして貰ってんだろ?」 「うん。凄~っく、大事にして貰ってる。  見て見て?婚約指輪も嵌めてくれたんだよ?  それにね、とっても素敵な言葉も、内側に入れてくれたんだよ。  ね?龍嗣?」  蕩けそうな笑顔で指輪を見せ、璃音は龍嗣を見上げた。  その笑顔だけでも、心臓が鷲掴みされた気がする。 「そっか…、一族以外の人なのに、そんなに大事にしてくれんなら大丈夫だよな…。  すっかり雰囲気が変わっちゃって、子供ってより、なんつーか…。  ん~………、幼な妻みたいっつーか…」  ぶふうっ!!  後ろで、依留、まりあ、弓削、瑠維が、総一の言葉に茶を噴いた。  確かに、子供子供していた璃音の中に、今までと違う雰囲気を皆が感じていた。  龍嗣の深い愛情を受けて安定した事で、新婚の幼な妻なイメージも無くは無い…。  無くは無いが…。

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