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 いつもの姿と違い、見ようによっては妖艶にすら見えてしまう璃音の姿は、龍嗣だけでなく弓削や瑠維をも魅了した。  荊櫻に生き写しなのに言葉遣いは子供子供していて、そのアンバランスさが妙に合うのだ。  床に降ろしてもらい、総一がデジタルカメラで撮った画像を見せて貰う璃音。 「……うっ、ホントに母さんそっくりだ…」  苦笑いするしかない。 「今度は、矢絣(やがすり)に袴、ブーツにするぞ」  帯を解き、矢絣の着物と袴に着せ替えてブーツを履く。  花やリボンを外し、ポニーテールにすると、結った部分を大振りのリボンと組み紐で飾る。 「…ん、まあ、こんな感じかな?」  文明開花時期の女学生といった風情の璃音が出来上がった。 「あら…、キリッとしていて、こういうのも良いわね…」  猫が頷きながら検分する。  すかさず、総一がデジタルカメラで撮影し始めた。 「矢絣もいいが、こっちの桜はどうかな…?  全体に散ってる訳じゃないから、袴の色合いとも合いそうだぞ?」  龍嗣が、フワリと璃音の肩に桜柄の一枚をかけた。  キリッとしつつも甘い感じが出て、矢絣よりもしっくりしたような気がする。 「意外と、璃音ってピンク色とか似合うんだな…。  ん、やっぱ番いの相手だけあるかも。  璃音に一番似合うのを嗅ぎ分けるんだもんな~」  腕組みしつつも苦笑いする総一。  改めて璃音に着付けし直し、デジタルカメラで撮影する。 「あ~、うんうん。桜のがピッタリだ」  リボンと紐の色を変え、バランスを整えて、再び撮影する。 「うん!!最高だなっ!!  氷室さん、携帯の赤外線通信を起動して貰えますか?」  デジタルカメラのデータ送信のセットアップをし、総一は璃音のメイド、和服、女学生姿の写真を転送した。 「画素数もかなり多いので、携帯の待ち受け画面に使っても、何の遜色もない筈ですので。  普段の何気ない顔の写真もいいけど、こういうのも萌えるでしょうし。  あ、後でメモリーカードかディスクに入れてお届けしますよ」 「あ…ありがとう」  データボックスにセットすると、クオリティーの高い写真が表示された。  いつもと違う璃音の顔に、龍嗣もドギマギしてしまう。 『これは、絶対消さないぞ!!』と、固く心に決める龍嗣なのだった。

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