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「な、何言っちゃってんだろね、僕。  ちょっと頭冷やしてくる」  真っ赤な顔のまま、龍嗣の膝から降りようとした璃音の腰と腕を、大きな手が捕まえた。 「…え?」  驚いて見上げた璃音の唇に、龍嗣は噛み付くように口づける。 「んっ?んんっ!!」  唇と歯列を割って、龍嗣の舌が捩じ込まれた。 『えっ、えええっ!? 何でっ!?』  体を繋いでいる時のような激しい口づけに、璃音は頭の中がパニックになる。  単に思った事を言っただけなのに、口づけが深くなり、絡めた舌も甘く蕩けていく。 「「…んぅ…っ」」  頭の芯が痺れ、目の前がくらくらする。  こんな深くて淫らなキスは、あの別邸の時以来だ。  甘くて、全身を痙攣させるような口づけに、お互いの理性も吹き飛んで行きそうな気さえする。 『あぁ…、僕、やっぱり龍嗣がしてくれるキス、好きだなぁ…』  軽く触れる様なのも…。  角度を変えて何度も啄まれるのも…。  それ自体が独立した生き物の様な舌で理性を侵食されるのも…。  強弱をつけて吸われるのも…。  龍嗣がくれる口づけは、総てが蕩けそうで、愛おしい気持ちが溢れそうになるから好きだ…。  淫らな水音を立てていた龍嗣の唇と舌が離れ、一気に酸素が口から入ってくる。  ゼイゼイと喘ぐ璃音は、龍嗣にしがみついていないと崩れ落ちそうになった。 「どうしよう…っ、龍嗣のくれるキス…、全部…気持ちいい…」  もう駄目だ。  こんな気持ちいいキスをされたら、我慢なんか出来る筈がない。  触れたい。  龍嗣の気持ちいい所総てに。  口づけたい。  舌で触れたい。  龍嗣の体全部に…。  繋がれたい。  ズクズクと熱くなった後孔を、龍嗣の熱いので貫かれたい。  欲望が次から次に湧き出て止まらない。 「だ…め…だよ…。  僕が…、僕が龍嗣を悦ばせなきゃいけないんだよ?  こんな気持ちいいキスされちゃったら、僕、何も出来ないよ…」  ため息すら、甘さと熱を帯びてしまってるのに、腰が砕けてしまいそうな声とキスを貰ったら、頭の中まで壊れてしまいそうで…。 「璃音とのキスは私も気持ちいい。 この間、教えたろ?  それと…、気持ちいい時に上擦って掠れる君の声は、私の腰を砕くんだ。  知らなかっただろ…?」  耳元で甘く囁かれ、璃音の体は一層熱を帯びた。

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