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「弓削から信頼されてるかどうか、本当に怪しいぞ…。
何せ、君にがっついてる現場まで見られたしな…」
苦笑いする龍嗣の背中を、璃音があやすように軽く叩く。
「僕から見れば、信頼関係はあると思うけど…。
もう少しいい関係になるように、信用して貰おっか…?」
「とりあえず、頑張って自重する所から始めるか」
璃音を包み込むように抱きしめながら、龍嗣は自嘲めいた笑みを浮かべた。
「僕も、あんまり弓削さんに怒られないように頑張るね…。
…………っ!!」
ひくん、と、小さな体が跳ねた。
「い…っ、つぅ……っ」
少し引いた筈の痛みが振り返し、璃音の体が強張る。
肘と背中に突き抜けるような痛みが走り、龍嗣の背中にしがみつこうとしても、腕に力が入らない。
パタリと、細い両腕がシーツの上に落ちた。
パジャマの袖をまくり、内肘に口づけると、痛さと疼きに璃音が更に身を硬くする。
チュ…ッ。
「ん、やぁ…あっ!!」
左手を口に当て、声を抑えようとしているのが、可愛くて仕方ない。腕の中に包み込み、璃音が痛がる部分を摩る。
鎮痛剤の効き目が出るまでの間、存分にスキンシップしておこう…。
龍嗣は、華奢な体をやんわりと抱きしめた。
「……………」
弓削がリビングに戻ると、黒猫メカの"みあ"がソファの上で苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「お子ちゃまの瑠維は、部屋に戻ったの?」
「ええ。かなりご立腹でしたがね」
少し胃が痛むので、いつものエスプレッソではなく、かなり紅茶の割合が薄いミルクティーを煎れる。
「一服如何ですか?」
「そうね。少し冷ましてから頂戴」
コポコポと、心地好い音と、ふわりとした湯気があがる。
自分専用のティーカップと、猫用の小さめのティーカップを持ち、ソファに向かう。
「どうぞ。」
弓削がカップを差し出すと、猫は器用に両手で受け取った。
「ありがと」
人間が湯呑みを持つような感じでカップを持ち、一口、コクリと飲む。
「美味しい…。
凄く優しい味ね。
璃音が毎朝飲みたがるの、解る気がするワ…」
「お褒めに与り、恐悦至極でございます」
「………アナタ、眼鏡してないと笑顔が柔らいのね」
微笑む弓削の顔を見て、猫が感嘆の言葉を漏らした。
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