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 ぶふゥ!!  猫と龍嗣が噴いた。 「ちょっと!!  まさかアナタ本当にしてないでしょうねっ!?」  龍嗣の襟元を掴み、問い詰める猫。 「ちょっと!!  本当にしたんじゃないワよね!?してないワよね!?してる訳ないワよね!?」  ピシピシピシピシピシピシ!! 「痛い痛い痛い痛い痛い」  痛烈な往復猫パンチが炸裂する。 「正直に言いなさいよっ!!  本当にしたんじゃないワよね!?してないワよね!?してる訳ないワよね!?」  ピシピシピシピシピシピシ!! 「痛い痛い痛い痛い痛い」  再び、痛烈な往復猫パンチが炸裂した。 「………した」  さも言いにくそうに言う龍嗣に、猫の血の気(?)が一気に引く。 「いやぁ―――――ッ!!  ちょっとっ!!  何してくれるのっ!?  本当に何をしたのよ!?してないワよね!?してる訳ないワよね!?」  ピシピシピシピシピシピシ!! 「痛い痛い痛い痛い痛い」  見事な百烈猫パンチに、龍嗣の頬が赤くなっている。 「冗談だ。してないよ」  苦笑いする龍嗣に、ようやく猫がへたりこんだ。 「してないならしてないで、素直に言いなさいよね…っ」  メカのくせに肩で息をする猫の背中を、龍嗣がゆっくり撫でる。 「すまん。  あまりに反応が可笑しくて、つい乗っかってしまった。  悪かった」 「もうっ!!  気を揉ませないでよねッ!!」  憤慨する猫を宥めていると、小さな手が横から伸びてきて、猫を掴んだ。 「「………?」」  猫を掴んだ手から腕、腕からその先へと視線を向けると、目の前にいたのは、半分眠ったまま立っている璃音だった。 「………たたいちゃ…だめ…でしょ…?」  胸元に猫を抱っこして、間延びした口調で窘めるのだが、だんだん瞼が落ちていき、そのまま寝息を立て始める。 「器用よね、立ったまま寝ちゃってるワよ。  もう、しょうがないワねぇ。  エロ魔神、ちゃんと受け止めなさいよ?」  呆れた猫が器用に璃音の腕から抜け出し、するすると肩に乗ると、後ろにあるテーブルに向かって飛んだ。  軽く肩を蹴ったので、バランスを崩した華奢な体が龍嗣に向かって倒れ込む。 「と、ととっ!!」  フワリと倒れ込んだ体を龍嗣が抱き止め、いつものように横抱きにした。  龍嗣の腕に包み込まれるように抱きしめられて、安心したかのように寝息が深くなる。  その寝顔は、幾分幼く見えた。

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