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 その、虎に乗られている子猫…璃音が、紅茶やコーヒー、お菓子等をワゴンに載せてきた。 「お待たせいたしました」  それぞれから事前に聞いていた注文の物を渡し、綺麗に盛りつけたお菓子も手早く置いていく。 「………?  もしかして、瑠維が厨房にいるのか?」 「うん。  係りの子が貧血で倒れちゃったから、手伝いに入ってくれたの。  だから、昨日や一昨日よりも、手の込んだメニューになったみたい」 「では、私のエスプレッソマシンをお持ちしましょうか…?  ついでに、煎れ方もレクチャーできますし…」 「え…? いいの?」 「はい。  瑠維様のスイーツに合わせるのなら、やはりインスタントのコーヒーでは無理があるでしょう?  二台ありますので、コーヒーと紅茶、両方のエスプレッソが作れますし。  一応、担任の先生と瑠維様に確認を取ってからになりますが…」 「ありがとう、弓削さん…っ。  じゃあ、日下部先生と瑠維を呼んで来るね?」  厨房にいた二人を璃音が引っ張って来て、エスプレッソマシン等について相談が始まり。  お茶を飲みに来ていた校長からも了承が出たため、急遽エスプレッソマシンを持ってくる事となった。  その間に、璃音はポケットから二枚の小さなコイン状の物と、指輪タイプのコントローラーを取り出した。 「では、行って参ります。  玲、手伝って下さい」 「あ…、ああ」 「待って…」  氷室の屋敷に向かおうとする弓削と小鳥遊を、璃音が引き止めた。 「あ、あの、これを使って…」  二枚のコインと、リモコンを差し出す。 「…これは…?」 「反重力チップなんだけど…。  指輪は、リモコンになってて、こう使うの」  指輪を嵌め、傍にあったグランドピアノにチップを取り付ける。 「こうやって、引き寄せる動作をすると…」  大人数人ががりでようやく持ち上がるピアノが宙にフワリと浮いた。 「でね?  "降りて~"っていう動作をすると…」  今度は、ゆっくり着地した。 「反重力チップ?  昨年のサーフボード位のサイズだったアレですか?」 「うん。  使えそう…かなぁ?  弓削さんのマシン、業務用だったから、持ってくるの大変でしょ?  だから、僕と弓削さんで行った方がいいと思うんだけど…」 「なるほど…」  小鳥遊が頷いた。

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