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「それにしても…アイツ、どんだけ鈍いんだ?」 「…それを言いますか…?」 「ああ? 言わなきゃ話になんねえだろがよ。  あの執事服の四人…分家のガキ共なんだろ?  歳が近けりゃ、どうにかなるって本家のジジイは思ったんだろうけど、肝心の璃音が全然気が付いて無かったんじゃねえの…?」 「………相手が乱立していれば、何が何だか判らなくなるでしょうね…。  しかも、たった一人に気持ちが集中してたんですから、全く眼中に入る余地も無かったでしょうし…」  さりげないアプローチを繰り返したものの、余りに璃音が子供子供していたので、少女達も手の出し様が無かったらしい。  宿泊学習中に璃音を押し倒す計画もあったらしいが、余りの無防備っぷりに、逆に手が出せなかったという事も漏れ聞いた弓削は、想像して吹き出しそうになったのだ。  もうその頃は、龍嗣の元に引き取られて体を繋いだ後だった筈なので、行為の意味も本人は判っていたのだから。 「まあ、彼女達の出番が無くて何よりだったのではないですか?  事態も余計に拗れませんでしたし、ある程度は纏まってきたんですから…」 「まあ、それもそうだけどよ…」  心身どころか魂までも囚われ、龍嗣へ己の総てを捧げる様に恋をしている璃音の事だ。  強姦紛いの目に遭ったなら、正気でいられないであろうし、自らの命を絶ちかねない。  禁断症状に苦しんでいた弓削や小鳥遊を、少しでも助けようとしてハグやキスを受け入れた後も、かなり複雑な罪悪感に苛まれて感情が揺れていた。  どちらを受け入れても、誰かを傷つけてしまう結果をもたらすのだと、悩みに悩んで、余計に成長を止めていた位で…。 「トロくてガキだから、てっきり飽きて棄てると思ったんだが…。  あのオッサン、ロリかショタの趣味でもあったのか?」  ぶふぅっ!!  弓削だけでなく、傍にいた優と依留が噴いた。  三人とも、コーヒーや紅茶で噎せて、ゲホゲホと咳込んでいる。 「なっ、何言ってるのよ…っ!!」 「だって、そういう趣味が無けりゃ、あんなガキに手ぇ出さねえだろ?」 「無いどころか…、敢えて…後腐れの無いっ、ゲホッ!!…そんな大人がタイプでしたよ…っ。  全くっ、薮から棒に…っ、何を言うんだか…っ」  気管にコーヒーが入り、噎せて顔が赤い弓削。  依留もコクコクと頷いていた。

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