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「あ、そうだ。  白川先生、まだマム見てなかったよね?」  手に載せていた蜘蛛を撫でながら、璃音は振り向いた。 「マム?」 「うん。  地雷撤去してくれるんだけど、ちょっとだけカスタマイズしたらね、無重力空間で動ける子になったんだよ。  ね~?マム?」 「ハイ。チョットダケ進化シマシタ」  璃音に撫でられて、ピンク色に光る蜘蛛は足をパタパタさせる。 「無重力空間でも?  と、言うことは…宇宙空間でも動けると言うことかな?」 「そう。  ただ、まだマムをチームで投入しないといけないから、そこが改良しなきゃいけないんだけどね…。  マム達、おいで…?」  璃音が声をかけると、ワラワラと5匹の蜘蛛が降りてきた。 「璃音、ワタシノ出番?」 「璃音~、実験棟行くノ?」 「アソンデ、璃音」  器用に璃音の体を攀じ登り、肩や頭に乗ると、嬉しそうにピンク色に光る蜘蛛達。 「アソボ」 「アソボ」 「みんな。遊ぶの好き?」 「「ダイスキ!!」」  璃音にくっついて喜んでいる蜘蛛を、千尋や鷹也、白川医師がまじまじと見る。 「この子達、璃音のこと好きなのね」 「「イッパイ、ダイスキ!!」」  掌に乗せていた蜘蛛を千尋に差し出し、璃音は微笑む。 「千尋さん、蜘蛛は平気?」 「この子達なら大丈夫よ?」  そうっと受け取り、頭を指で撫でる。 「キャ……」  気持ち良いのか、蜘蛛の目が点滅した。 「イイナ」 「イイナァ…、ワタシモ撫でてホシイ」  ピンク色に明滅する蜘蛛に、白川も鷹也も目をみはる。 「凄いな…、感情があるんだね。  ただのメカじゃないんだ…」  鷹也が、驚きの声を漏らした。 「うん。  だってね、無機質な受け答えじゃ悲しいもの。  だから、お仕事してない時はお友達なんだよ?  機械だからって、召し使いみたいにしたくないんだ…」 「そうか。  君にとってメカ達は、使役するべきものじゃなくて、大事な子供だったり友達なんだね…?」 「えへ……」  思いが理解されて嬉しい璃音は、真っ赤な顔になる。  弓削や総一など、一族の人間以外の者から理解される事が少なかったからかもしれない。  実際、メカ達を納入する際、感情を持ったままだと困ると、何度も難色を示されたし、軍事転用拒否モードを外せとも言われていたからだ。

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