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 自分と璃音の関係が、意外に駄々漏れ状態だったことに、龍嗣は改めて冷や汗が噴き出す思いだ。 「あの…」  龍嗣のスーツの裾を、千尋がツンツンと引く。 「ん?」 「もしかして…、荊櫻が言ってた"エロ魔神"っていうの、氷室さんの事?」 「………っ!!」 「千尋、そこまで露骨に言うのは…」  龍嗣と鷹也が慌てる。 「荊櫻が言ってたわ。  うちの子が選んだ相手は、物凄くタチの悪いエロ魔神だ…って」  確かに、自分はタチのわるいエロ魔神だったので、ぐうの音も出ない。  璃音の父の晶にフラれ、半ばやけくそで男女の区別なく付き合い、飽きればさっさと別れていたのだから。 「確かに、見境いが無かったから反論のしようもないな…。  でも、今は璃音だけに夢中だぞ?  多分、それも世間的には問題ありありだろうけど」 「………そんなにあの子が好き?」 「好き…という一言で済ませる事も無理だな。  始終傍に置かないと不安だし、誰よりも大事だと思う。  同じ性別なのに、焦れ焦れするし、愛おしくて仕方ない」 「そうなんだ…。  一番大事なのね?」 「大事だよ…。  何にも換えがたい存在だからね。  君にとっては、気持ち悪い話しかもしれないけど」  自嘲気味に呟くと、千尋は穏やかに笑う。 「ううん。  何にもない私に、色んな事を教えてくれた荊櫻の子供が幸せなら、それでいいの。  私は恋愛したりとか、誰かと体を繋ぐのは抵抗があるけど…」  苦笑いに近い顔の千尋に寄り添う鷹也も、苦い顔をしている。 「何か複雑な事情があるみたいだけど、恋愛を頭から否定はしないでおいたほうがいいかもな。  少なくとも、鷹也さんは君を憎からず想っているようだし」 「「………っ!!」」  鷹也と千尋が、それぞれ気まずそうにそっぽを向く。 「まだ恋人同士というよりは、何か命に関わる事件をくぐり抜けた同士のようだけどね」 「………いやですね、まるで見てきたかのようだ。  企業の社長さんにしておくのは勿体ない。  どうです?今から転職しませんか?」 「転職?」 「ええ。警視庁ですけど」 「いや、遠慮しておくよ。  淫行罪で逮捕されそうだし、それに、多忙過ぎて恋人に捨てられたらかなわないから」  真剣な顔で断る龍嗣に、鷹也と千尋が噴き出した。

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