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ピシュ!!
ピシュッ!!
並走していた蜘蛛が金属片に糸を巻き付け、後ろにいた蜘蛛がもう一本糸を張り、飛ぶ方向を修正した。
風の流れに乗りながらも、蜘蛛達は、確実に宇宙塵に見立てた金属片を回収していく。
時折、小さい物をつまみ食いしているあたり、お茶目な部分もあるようだ。
暫くして、蜘蛛達が搬入ハッチへと移動し、宇宙塵回収が終わった。
「タダイマ~」
「タダイマ、璃音!!」
「おかえり~。
楽しそうに飛んでたねぇ」
「ウフ…ッ」
ご機嫌な蜘蛛達は、璃音に撫でられてピンク色に輝く。
「凄いわ。
これって、地球の周りを飛んでる宇宙ゴミの回収実験なんでしょう?」
「うん。
衛星を上げたり補給船を上げるにしても、危ないし邪魔だからね。
それで、安全に回収できる子が必要みたい。
悪い事や戦争に使われたら悲しいけど、こうして役に立つのならいいかなって思うんだ」
「凄いね…」
「僕、メカに楽しく遊んで貰いたいだけなんだ。
それが役に立つなら、嬉しいけど…」
穏やかに笑う顔は、小学生そのものなのに、頭脳は大人の上をいく。
それは、水上の子供として生まれたからこそのアンバランスだ。
「ネェ、璃音」
「今度ハ土ノ上ダカラネ?」
「ゴ褒美、ゴ褒美!!」
きゃわきゃわ騒ぐ蜘蛛達を宥めながら、璃音はコントロールパネルを操作する。
人工衛星等を仕舞い、真空だったフィールドに空気を満たす。
鋼鉄で覆われていた床も、土が露出した。
「じゃあ、龍嗣は見た事あるけど、千尋さんたちは初めてだから、スリープ撤去でいい?」
「「イイヨ」」
蜘蛛達から了承を貰い、璃音は一つだけ地雷をフィールドにセットした。
「璃音、どうするの…?」
「見てて。
あれは、ホントの地雷だって事、証明するね」
天井から重りが落ち、フィールド内部に爆風が駆け抜ける。
「ね?」
にっこり笑い、璃音は再びパネルを操作し始める。
「マム、幾つセットする?
置き方は、ランダムでいいのかな…?」
「「ランダム!!
セットハ………300カナア…。」」
「一人50個?
今日は欲張りだねぇ…」
リクエスト通りに、璃音は土中に300個の地雷をセットした。
「じゃあ、マム、お願いします」
「「了解!!」」
ウキウキと、蜘蛛達は出掛けて行った。
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