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「…凄かった…。
まさか、ホントに全部撤去出来るなんて思わなかったよ」
鷹也が、まだ興奮が冷めやらぬ状態で呟いた。
「マム達、良かったねぇ。
今日は、いっぱい誉めてもらえたよ?」
璃音は、蜘蛛の頭を優しく撫でた。
「キャ……」
照れているのか、ピンク色に輝いている。
結局、上機嫌になった蜘蛛達が俄然やる気を出した為、地雷撤去どころか機雷撤去まで披露したのだ。
一通り披露を終え、一行は璃音の研究室に戻り、改めてお茶を飲む事になった。
「凄いわ。
新聞とかで見てた事が、目の前にいる璃音の研究の結果だなんて」
蜘蛛を撫でた千尋も、感嘆の声を漏らす。
「やだ…、照れちゃうよ…。
ただ、地雷踏んじゃって、足を怪我したり、死んじゃったりする人が出ないで欲しいなって思っただけなんだから…」
真っ赤な顔の璃音は、龍嗣の膝に乗せられ、蜘蛛の足を掴んでモジモジしている。
「これだけじゃないんだろう?
氷室重工で発売しているハイブリッドカーも君の設計だそうじゃないか。
普通の中学生には絶対出来ない事だよ?」
「や…、やだな…」
もう、頭のてっぺんから湯気が出そうな程に、真っ赤な顔の璃音。
龍嗣の胸に顔を埋め、固まってしまった。
「そんなに照れなくてもいいんじゃないのか?
何せ、あのハイブリッドのお陰で、うちの業績はうなぎ登りなのは本当なんだから」
「は…、恥ずかしいよぅ…」
ワイシャツを通して伝わる体温は、かなり高い。
こんなふうに照れまくる璃音も珍しい…と、龍嗣は頭をそうっと撫でた。
「そういえば、そのハイブリッドカーですけど、警視庁でもパトカーに採用されましてね。
あまりの燃費の良さに、機動隊でも驚嘆の声が上がったらしいですよ?
何せ、一度の充電で、東京と福岡間を往復出来るなんて考えられませんからね」
「お気に召して頂いて何よりです。
私も、親友の忘れ形見が、こんな天才児とは思わなかったんです。
まさか、仕事上のパートナーになるとも…ね」
「それと、大事な恋人になるとも思わなかった…でしょう?」
「全くです」
龍嗣と鷹也が、クスクス笑っていると、璃音が照れて龍嗣の胸をポスポス叩く。
「あんまり可愛くて、仕舞っておきたい位ですよ」
璃音を宥めながら、龍嗣は上機嫌で笑った。
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