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「私はマタタビか?」
可笑しくて笑うと、璃音もつられて笑う。
「そうかもね…」
龍嗣の肌の香りに酔い、トロリとした瞳の璃音。
徐々に体の内から熱くなって来ているのが、スーツを通していてさえわかる。
「僕…、発情してるみたい…恥ずかしいよ…」
胸元に頬を擦り寄せる仕草すらも、媚態のように見えてしまう程だ。
「気が合うな。
私も発情したみたいだ」
華奢な体を抱き上げ、向かい合わせになるように抱きしめる。
熱を持ちはじめた小さな手が、龍嗣の頬に伸ばされた。
甘くて熱い吐息が鼻腔をくすぐる。
「ねえ、キス……していい…?」
「ああ」
ちゅくん。
微かな水音と共に唇が重なった。
まるで何年もしていなかったように、待ち侘びた口づけ。
いつも受け身の璃音が、舌を出して龍嗣の唇を割る。
唇の裏側を這う舌の感触に、ザワリと全身に悦びが駆け抜けた。
軽く唇だけで舌を噛んでやると、腕の中の体がふるふる震えて一層愛しくなる。
「あふ…っ、んん…、あ…む…」
差し出された舌を、尚も唇ではむはむと軽く噛む。
「や……ぁ…ん、ん…、んむ…っ、あふ…ぅっ」
ぷちゅん、と、水音を立てて唇を離すと、璃音の上体が後ろに反り返りそうになった。
「あ……っ」
背中を這いあがる衝動に負けて、体から力が抜けている。
肩に体を預けさせ、龍嗣はソファに腰を下ろした。
自然に、璃音は龍嗣の両足を跨ぐような体勢で向かい合わせに座る形だ。
「これなら安定してていいだろ?」
「………ん」
ねだるように顎を少し前に出すと、花びらを思わせる唇が重なった。
チュ…、チュ…、チュ…。
互いに啄むだけで、脳髄まで溶けてしまいそうな気がする。
自然に絡ませ合う舌が体の中の燠火を燃え上がらせて、堪えていた情欲を煽りたてる。
体を繋ぐ事を許されていないから、せめて口づけだけでも相手を悦ばせたい。
性交の代償行為のように激しく舌を絡め合い、吐息も唾液も混ぜ合わせて吸いあう。
弓削が迎えに来た時に互いの昂ぶりを扱き合ってでもいたら、きっと色々と制約を増やされるだろうから、キスだけで済ませておかねばならない。
だから。
だからこそ、最上の快楽を相手に与えられるように、甘美で淫らなキスを仕掛けるのだ。
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