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『年単位の禁欲が必須』…白川医師の最初の見立てはそうだった。
禁欲と統括から引いた事、どっちが効果を上げているのか読めなかったが、璃音の体調や成長の度合い、経過を見ている内に白川も気づいたのだ。
『頭を使い過ぎている時に成長が止まり、龍嗣に触れられている時は安定して成長している』と。
特に、この数日間、踏み込んだスキンシップを許してからは、それが顕著に顕れ精神的にもかなり安定している。
ならば、無理に禁止する必要は無く、ある程度の歯止めだけを心掛けさせれば良いのではないか?
白川は、そう思ったのだと龍嗣に説明した。
『いや、本当に申し訳ない。
ただ、命のリミットが危ぶまれていたのも事実で…。
このまま軌道に乗ってくれれば、璃音くんは大丈夫と思います。
後は、節度を保っての事にして頂き、経過を見ようと思いますが…』
お互い、言い様が無くて口ごもる。
有り体に言えば『やっていいですよ?一ヶ月に一回なら』という話だ。
『やるなと言ったり、やれと言ったりで、かなり困惑なさっているのも承知しております。
本当に申し訳ない…』
「いやいや、初めての症例でしょうし、私も我慢や忍耐が必要だったかも知れないので、ちょうど良かったかもしれません。
連休明けに受診しに行きますので、その時はよろしくお願いします」
『わかりました…。 では…』
幾分か塩梅の悪そうな…そんな電話の切り方だったような気がするのは、龍嗣の気のせいだろうか。
「龍嗣…?
先生、なんて言ってたの?
僕、良く分からなかったから…」
膝の上で、璃音が困惑している。
「何と言ったらいいものかな…。
そうだな。 璃音が言うことを良く聞いてちゃんと成長しているから、白川先生からご褒美だそうだ」
「ご褒美?」
「ああ。
一ヶ月に一回だけ、私と体を繋いでもいいと言ってたぞ?」
「………へ?」
「と、言う訳で、今夜は璃音を食べたいな。
いいだろ?」
額に口づけを落とすと、闇色の瞳がパチクリしている。
「ホント?ホントにえっちしていいの…?」
「加減するならいいそうだ」
途端に、白磁の肌が朱に染まる。
「帰ったら、璃音をたっぷり可愛がるから、覚悟しておきなさい」
「………はい」
龍嗣は、俯いて睫毛を伏せる様を心底愛しく思った。
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