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 一方、弓削は市内の幹線道路で立ち往生していた。  爆弾低気圧のせいで起きた偏頭痛が酷く、小鳥遊と運転を交代したところだ。 「参りましたね…、まさか雪が降り出すとは…」  小鳥遊がスタッドレスタイヤに交換していたので運転に関しては全く問題がない。  だが、湿り気の多い雪が降った為、雪の重みであちこちの電線が切れ、街灯だけでなく信号機までが消えてしまっていた。  警察が交通整理をしているものの、車の列が進む気配が全くない。 「なあ、大丈夫なのかよ…?」  後部席の瑠維が、不安げに外を見ている。  優と依留も携帯電話でニュースや渋滞情報を検索しているのだが、好転する気配がない。  運転席の小鳥遊も情報パネルで渋滞情報を見ていたのだが、市内の幹線道路は完全に詰まったままだ。  ♪♪♪ ♪♪♪ 「お?  エロ魔神から着信か?」 「そのようですね…。  はい、弓削でございます」 『もしもし、私だ。  もしかして、市内は全域停電しているのか?』 「ラジオでも、そのように…」 『南区なら、学園に引き返すより家に向かった方がいい。  こっちは一晩くらいならなんとかなりそうだし、家も自家発電で暖房もつくだろう?』 「ですが…」 『私達は大丈夫だ。  璃音の研究室には非常食もあるし、給湯室のキッチンも使える。  仮眠室もあるそうだから、電気が復旧して安全になってから迎えに来てくれて構わない。』  確かに、氷室邸ならば脇道に入れば直ぐに着ける。 「では、そのようにいたします。  小鳥遊達も一緒におりますので、今夜は屋敷に泊めても宜しいでしょうか?」 『ああ。  かなり冷えて来てるだろうから、風邪を引かないようにしてくれ。  瑠維に代わって貰えるか?』 「畏まりました。  …玲、氷室邸に向かって下さい」 「…迎えはどうすんだ?」 「一晩くらいなら、研究室で大丈夫でしょう。  あちらも自家発電できますから、屋敷に迎えと…」 「ちょ、ちょっと待てよっ!!  璃音を一晩オッサンと二人きりで置いとくのか!?」  後部席から身を乗り出し、額に青筋を浮かせて瑠維がキレた。 「今でも寝室は一緒なのは変わらないでしょう…?  今夜の事については、旦那様が瑠維様に代われとおっしゃってます。  どうぞ…」  弓削が瑠維へ携帯電話を差し出した。

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