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最後の甘い時間
じわりと体に残る怠さを感じながら、璃音は薄く目を開けた。
絶対的な安心感をくれる龍嗣の腕に包まれて、トロトロとまどろむのは、とても心地が好い。
龍嗣の肌の香りに包まれていられる間は、本当に幸せな気持ちでいられる。
『昨日の龍嗣、ケダモノみたいで凄かったかも…』
自分もケダモノのように龍嗣を求めた事を、さりげなく棚の上に放り投げておき、昨夜の行為を思い起こす。
頬を乗せていた龍嗣の左胸に、そうっと耳をくっつけてみる。
トク、トクと、優しい音が響いてきて、愛おしい気持ちが全身に広がった。
『龍嗣、まだ起きないでね…』
小さく囁き、璃音は厚い胸板に頬を擦り寄せる。
リボンが外された後の髪がさやさやと流れて、龍嗣の肌の上を掠めた。
「………んっ?」
擽ったさに龍嗣が身じろぎする。
『あ…っ、起きちゃうっ!?』
璃音は逞しい腕の中からずり上がり、龍嗣の頭をかき抱いた。
「…ん…、んん?」
「………まだ夜中だよ…
ぎゅうってハグしてるから、もうちょっと寝よう?」
とうに夜は明けているけれど、龍嗣と離れたくなくて璃音は珍しく嘘をつく。
「…まだ…よる…?」
「そうだよ…、まだ夜だから、寝てようね…?」
子守唄でも歌ってあやすかのように、優しく囁く。
『朝なんか、来なきゃいいんだもの…』
少し癖のある髪を撫でてやり、璃音は腕や胸、毛布で龍嗣を包み込んだ。
すぅ…っ。
寝息が深くなり、龍嗣が再び寝入る。
『………よかった…』
ほうっと息をつき、気を抜いた瞬間…。
チュ…ッ。
「あ……っ!!」
寝ぼけた龍嗣が、璃音の胸の蕾を口に含んでいた…。
ゾワリと、甘い痺れが体を支配していく。
チュ…、チュ…
「あ…っ、あぁっ!!」
必死で声を噛む璃音の胸を、龍嗣は愛しげに吸う。
唇に含み、舌で転がし、もう片方は指先でクニクニと潰している。
「…ひぁ………んっ!!」
背中が弓なりになり、体がカクカクと震え出すと、胸元に吸い付いていた龍嗣が噴き出した。
「嘘はいかんなぁ…。
そんな悪い子は、お仕置きしないとな?」
「やだぁ…っ!!」
強弱をつけて璃音の胸を嬲る龍嗣。
悪戯っぽい顔が璃音の胸から上がってくる。
両手で胸の蕾が支配され、こめかみに口づけられて、璃音はブルリと震えた。
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