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◇◆◇◆◇
チュ…ッ。
お互い、どちらともなく唇が重なった。
昨夜、数え切れない程重ねあったのに、未だ飽きる事なく重ねてしまう。
お互いを煽ったり焦らしたりするのではなく、好きだという気持ちを込めてするキスだ。
チュ…
チュ…
膝に跨がる璃音は、龍嗣の腕に包まれるように抱きしめられていて、物凄く嬉しそうに見える。
「ん…」
軽い啄みもなくただ重ねるだけなのに、幸せな気持ちでいっぱいになるのが本当に不思議だ。
「ね、龍嗣…」
「ん?」
「昨日、あれだけがっついたのに、僕、関節痛まなかったね」
「そういえば、そうだな」
「やっぱり、龍嗣にえっちい事してもらうと気持ちが安定するのかな…」
「そうかもな。
ま、限度はあるだろうけど…」
額と額を合わせ、そっと龍嗣の目を覗いてみる。
柔らかくて、いつも包み込まれるような心地好さをくれる瞳なのだが、いざ取引となると相手は射抜かれたように固まったりもする。
『やっぱり龍嗣の目、綺麗…』
潤んだ瞳で見つめていると、研究室のドアがノックされた。
「あ、弓削さんかも…」
ロックを解除すると、弓削が入ってきた。
「お迎えに上がりました。
璃音様、何も不都合はございませんでしたか?」
にっこり微笑み、大きな鞄を机に置く。
「うん。大丈夫だったよ」
「それはようございました。
昨夜は旦那様に美味しく食べて戴けたようで、弓削も安堵いたしました。
具合の悪いところも無いようですので、重畳と存じます」
「…うん。
昨日ね、久しぶりにらぶらぶ出来たよ」
「沢山可愛く啼かされましたか?」
「可愛くできたかは解らないけど、いっぱい鳴かされたよ」
「そうですか。
やはり、旦那様に鳴かされた後の璃音様が一番安定しているようですね。
さ、着替えをお持ちいたしましたので、こちらにお召しかえを」
弓削が取り出したのは、黒を基調にした長めのチュニックとスキニーだ。
ダボッとした感じに着こなせば、チュニックワンピにジーンズを合わせたように見えなくもない。
そして、さっくり無視をしていた龍嗣には、一番気に入っているワイシャツにチノパン、薄手のニットを手渡す。
主人を主人扱いしないのはいつもの事だが、璃音と一晩いちゃついた事への意趣返しと言えなくもない。
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