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「璃音もそうだが、本気で好きになると相手を喜ばせようとして尽くしまくる感じがするな…。
私と肌を合わせる時の健気っぷりと、研究の成果が比例しているし…」
「そうですね…。
それはあると思います。
各務系の家の子供は、番いの相手との間に子孫を残せない場合、特に顕著に…。
大抵尽くしまくるのは、受けの立場の子供ですし」
「あんまり健気に尽くされると、ついついがっついてしまうんだが…」
「で、沢山がっつかれると、更に健気に尽くしますからね…。
だから、各務の子供が受けの立場で嫁ぐと、相手の家は栄えまくるんです。
そのせいで、昔から水上の一族だけでなく、公家や宮家、大名家等と繋がりが深かったんですよ」
「………荊櫻が私を嫌がった理由が、何となく分かった。
移り気な私に嫁いで、璃音を都合の良い時だけの抱き人形にされて利用しまくった挙げ句、ボロ雑巾の様に棄てるんじゃないかと思ったんだな…?」
確かに龍嗣は移り気な男だが…、一年経った今も璃音とは良好な…、いや、良好過ぎる関係を保っている。
昨夜のがっつきっぷりも、あまりに淫ら過ぎて今更ながらに赤面する程だ。
「相性が良ければ、身も心も捧げて健気に尽くす。
愛した相手の富を増やし、閨では極上の快楽を捧げる…。
それに絆(ほだ)されて、夫は更に深い愛情を与える。
愛情のスパイラルは限界を知りません。
なので、尽くすタイプの子供の番いには度量の深さが求められます。
愛情深さ、慈悲深さ。
一人だけを愛し抜き、尽くされて舞い込む富によって強欲にならないことが…。
なので、旦那様の事を皆が危惧したんです。
一度尽くし始めたら、相手に棄てられた後の子供は愛した相手に焦がれ死にますからね…」
『そりゃ、相手が移り気なら危惧するな…』と、龍嗣は眠る璃音を見る。
遺伝子に組み込まれたものとは言え、璃音の健気さと尽くしっぷり…それを気味の悪い物だとは思わない。
ただ、あまりに尽くされると、余計に華奢な璃音を責め立ててしまうので、自分の強欲ぶりを申し訳なく思ってしまうのだ。
「貪る事を呵責に思う事は必要ないと思います。
惜しみない愛情を注ぎ続けていていただければ、璃音様は常に幸せなのですから…」
弓削の言葉が、ツキリと心に突き刺さった。
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