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「まったく…。
私がお隣りに御礼を言いに行っている間に、一体何をされてるんですかッ!?」
腕組みをしたまま、弓削は深いため息をついた。
「ご…、ごめんなさい…っ」
まだ下着とジーンズが床に落ちたままなので、チュニックを膝まで引っ張りながら璃音が恐縮している。
「仕方ないだろう?
一ヶ月近く禁欲してたんだし、昨日のがっつきだけじゃ足りなかったんだから」
しれっと応える龍嗣に、弓削がキレた。
「だ・ん・な・さ・ま!!
璃音様はまだ治療中でございますよ?
いくら許可が出たとは言え、ヤりまくるのはどうかと想います!!
後生ですから、足腰が立たなくなるような真似だけはおやめ下さらないと!!
婚約式や結婚式の前にヤり過ぎて、歩けなくなるような事態にならないよう、気をつけて下さいっ」
「でもね、弓削さん。
昨日、いっぱいがっついてもらったけど、僕、大丈夫だよ?
関節痛も無かったし、焦れ焦れしてないし、歩けるし…」
必死で龍嗣を庇う璃音をチラリと見遣り、弓削は深い息をつく。
「では、歩いてご覧なさい…」
璃音は龍嗣の膝から降り、入り口に立つ弓削まで歩く。
確かに足取りはしっかりしているし、よろけてもいない。
「ね?ね?」
ピョンピョンと跳ねても、膝が崩れもしないので、大丈夫のようだ。
「わかりました。
璃音様が大丈夫だというのは、この弓削が確認いたしました」
「ありがとうっ!!」
仕方なく折れてやると、ニッコリ笑って抱きついてくる。
「………っ」
何とは無しに見えた首筋には、紅い花びら模様が幾つもある。
まるで、それが当たり前のように…。
龍嗣に愛されて、淫らに腰を揺らめかせる様が一瞬目に浮かぶ。
きっと、それは壮絶なまでに淫らで、甘い芳香を放ったことだろう。
ぼんやりと璃音を見ていると、笑っていたのに、少し顔色が変わって来ている。
「………?」
「あ…、あはは…、や…だな…」
苦笑いして、内股を手で押さえた。
「璃音様…?」
慌てて龍嗣の元へ戻る璃音の足…
ツツッと、何かが見えた。
内側を伝っていたのは、トロリとしたもの。
『…………っ!!』
龍嗣が最奥に放った白蜜だった。
「旦那様ッ!!するならするで、ちゃんと避妊具をお使い下さいっ!!」
再び、弓削の説教が始まってしまった…。
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