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「いつも龍嗣は僕の体を気遣ってくれてるし、"つけてしよう"って言ってくれるよ。  でも、僕は嫌なんだ。  自分だけが気持ち良くて、龍嗣だけに我慢させるの…。  気持ち良くなるなら、両方が気持ち良くならなきゃ嫌だし、龍嗣の命のカケラなら、やっぱり僕の中に全部注いで貰いたい…」  視界の端で、龍嗣が身じろいでいるのが見える。 『僕、いま、物凄く身勝手で残酷な事を言ってる…。  ごめんなさい、弓削さん…』  心の中で謝りながら、璃音は言葉を紡ぐ。 「それに、弓削さんは最初に言ったよね?  龍嗣が好きなら、全力で落とすつもりにならなきゃダメだ…、って。  だから、僕、自分の有りったけで龍嗣にぶつかれたし、愛人じゃなく、恋人にしてもらえた」 「璃音様…?」 「あの時、弓削さんが後押ししてくれたからでしょ…?  だからこそ、龍嗣から婚約指輪も貰えたし、"殉教じみた真似をしないで愛を貪れ"って言って貰えた。  僕、自分の意志で龍嗣に抱かれてるし、避妊具を使われるのも拒否したんだよ?  だから、叱られるのは、きっかけを作ってる僕でしょう?」 「………」  なんと強情な子供なのだろう…。  弓削は暫し絶句した。  だが、思い返して腑に落ちる。  この子供は、気が強くて強情っ張りな荊櫻と、情が深くて粘り強い晶の子供だった…、と。  母の荊櫻そっくりの顔をして、中身は父の晶に激似の子供…。 「僕、龍嗣から、大事にして貰ってるよ。  弓削さんが心配するほど龍嗣は無茶しないし、キスだけだったり、ギューッて抱きしめて終わりの時もある…。  龍嗣は、弓削さんが思う程ケダモノじゃないもん」 「………」  微妙な居心地の悪さを感じつつも、龍嗣が引き継いだ。 「璃音。  前に君を倒れさせているし、昨日もがっつきまくっているから、弓削に信用して貰えないのも仕方ない。  璃音に懇願されたからといって、使わなきゃいけないものを敢えて使用しなかったのは、明らかに私が悪いからな…。  …と、言う訳だから、私が悪かった。  すまん」  璃音を後ろに庇うようにして、龍嗣が頭を下げた。 「龍嗣は悪くないよ…」 「いや、そこは私が責任が重いんだよ、璃音」 「でも…、あ……っ」  尚も食い下がる璃音を抱き上げ、龍嗣はやんわりと抱きしめた。

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