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「そうやって璃音が可愛い顔をするから、ついつい絆されてお願いを聞いてしまうあたり、私もまだまだだな」
向かい合わせで抱っこする形なので、肩に手をかけた璃音が頬を膨らます。
「だって、龍嗣のことが一番大事だもの…」
「多分、その健気っぷりが弓削には心配の種かも知れんな。
璃音はいつでも私を最優先にする癖があるから…。
違うか?弓削?」
「………っ」
弾かれたように弓削が龍嗣の顔を見た。
荊櫻から璃音の後見じみた役割を振られたせいか、弓削の庇護っぷりは半端ない。
ましてや、璃音に求婚した立場でもあるので、複雑極まりない部分もある。
「気持ちいいことに素直な部分は嬉しいが、あんまり私が優先されてると弓削が心配するからな…。
物事には、お互い譲れる部分と譲れない部分がある。
だから…、私と璃音と弓削の三人で、譲歩出来うる条件があるんじゃないのか?
そうだろう?璃音」
「………」
「弓削だって、中出しはダメだが、譲歩できる部分があるだろう?
違うか?」
「………っ」
璃音も弓削も、息を飲む。
痛い所を微妙に突かれてしまったからだ。
「だから、二人が折り合いをつけていける範囲を作ればいい」
「………僕…、僕は……龍嗣に気持ち良くなって貰いたい。
できれば、避妊具を使わないで気持ち良くなって貰いたいよ…」
「…私は、璃音様のお体に負担が掛かる行為は慎んで頂きたいです。
特に、後ろへの中出しは反対でございます。
避妊具をお使いになるなら別ですが」
璃音と弓削の主張は、真っ向から対立する。
だが。
方向を少し変えればいいのだと、龍嗣は思う。
「璃音は避妊具を使いたくない、弓削は避妊具を付けるか、中出し禁止…。
真っ向から対立だな。
だが、そこから妥協点を引っ張りだせばいい。
例えば…。
弓削は、璃音が手や口で私を悦ばす辺りなら許せるか?」
「…はい。
ただ、胃に負担が掛かりますから、口へ多めに注ぐのはちょっと…」
「璃音は、私が気持ち良くなるなら、白川先生に許可されたスキンシップで許せるか?」
「………龍嗣が、それで満足出来るなら…。
でも、全部吐き出すのは絶対イヤだよ…」
「ほらな?
妥協点が見えて来たじゃないか」
龍嗣がニヤリと笑った。
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