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龍嗣の腕に抱かれながら、璃音は弓削をじっと見る。
「璃音は吐き出すのはイヤ、弓削はあまり飲んでほしくない…。
微妙に対立するが、ここが妥協点だろうな…」
苦笑いする龍嗣は、璃音と弓削を交互に見た。
どうにも『嫁姑の間に挟まれた頼りない旦那』という心境な龍嗣だが、やはり庇いたい相手は嫁………つまり璃音だ。
「例えばだが、私が3回出した場合なら、二人はどう思う?」
「私としては、飲むのは1回ですね」
「ヤだ。
3回なら、全部飲むもん」
苦々しい顔の弓削に、璃音は絶対譲らない。
「じゃあ、4回なら、どの割合なんだ?」
「やはり、飲むのは1回です」
「4回なら、1回だけ我慢する…」
「……………」
さて困った…。
回数は合うものの、飲むか出すかで噛み合わない。
「璃音、2回に1回出すのはダメか?」
「………絶対イヤっ!!」
「弓削は?」
「………」
睨み合う弓削と璃音。
暫し睨み合ったものの、バランスは一気に崩れた。
「酷いよ………っ、僕、後ろ我慢するのに、口も我慢するの…っ!?」
小動物っけ全開で、璃音がぼろぼろ泣き始めたのだ。
「……………っ!!」
タイミングばっちりで炸裂した小悪魔アイズに、弓削が床へとへたりこむ。
「璃音…」
「だって、そうでしょ?
結婚式過ぎても僕の成長が遅れてたら、ずっといっぱい我慢するのに、口もダメなの?
弓削さん、酷い、酷いよ…っ!!」
『あー……、勝負あったな…?』
ギチギチと締め上げるのは簡単だろうが、璃音は見た目を裏切る強情っ張りだ。
後ろを妥協させられるなら、別は絶対に譲る筈がない。
「弓削…、どうする?」
「う…う……、仕方ありませんね…。
後ろを妥協して頂いた分は、他を私が妥協いたします。
ただ、お約束下さい。
4回目以降は、飲むのは反対です。
でないと、胃に掛かる負担は半端ではありませんからねっ?」
きっぱり言い切る弓削に、龍嗣は絶句した。
「お前、私をどれだけ絶倫だと思い込んでるんだ…」
「ん……、じゃあ、意識が飛んでない時はそうする…」
「そんなに啼かせまくってないだろ…」
とりあえず、嫁姑の攻防は決着し、がっくりとうなだれる龍嗣の髪を璃音がよしよしと撫で梳いた。
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