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 璃音と瑠維の髪を整えた後、龍嗣と弓削の髪も整える事になった。 「忍の髪って、璃音くんと似てるわね…。  やっぱり近い親戚なだけあるわ」  まりあが鋏を入れながら感心する。 「氷室さんの髪は、癖があって硬いかと思ったんだけど、フワフワしてて手触りいいッスね」  総一もニコニコしながら散髪していく。 「フワフワしてて、もふもふしてるから、雫がいたらしがみついて離れないかもね」 「雫?」 「この間結婚した雪の弟…というか、妹って言ったらいいのかな…。  あの二人、性別ないから」  龍嗣の目が点になった。 「性別が…ない……?」 「あ、無いって言ったら変だよね…。  雪と雫は、両性具有だったから、伯父さん達が性別保留して出生届け出したって聞いたよ。  番いが見つかった時に、面倒が無いようにしたらしいけど。  雪は名前の通り、アルビノで凄く綺麗なんだぁ…。  でね、雫の方はね、フワフワしててもふもふしてるものが大好きだったんだ…。  きっと、龍嗣の髪を気に入ってしがみついて離れないと思うよ?」  いろいろな子供がいるとは聞いていたが、両性具有の子供までいるとは…。  龍嗣は頭がクラリとする。  大学生並の頭を持っている璃音が、ごく普通の子供にみえてくるから不思議だ。 「二人とも、何年も前に行方不明になってたんだけど、最近みつかってね…。  雪は助けてくれた公爵様と結婚したし、雫ももうすぐ日本に来るみたい。」  久々に会えるのだと、璃音は待ち遠しいようだ。 「でね、これ…雪と雫の写真なんだよ?」  携帯電話を取り出し、メールに添付されてきた写真を龍嗣に見せる。 「ほぅ…?」  画面に写るのは、二十代後半の男性二人と、白い髪、紅い瞳の人物と、黒髪の子供だ。  白い髪の方が雪、黒髪の方が雫とわかる。  その雪は、色合いは違うが璃音によく似ていた。 「随分若いようだが、何歳なんだい?」 「雪のこと?  雪は18歳で、雫は15歳だよ~」 「すっげ…、まさに幼な妻かよ~。  いーなー、その相手の貴族の兄さん」  総一がポロリと漏らす。 「総一。 下品ですよ?」 「忍はそう言うけどさ、こんな可憐で健気そうな子と番いになれたら、誰だってメロメロになっちゃうと思うぜ?  いってえ!!」  後ろから総一を殴ったのは、小鳥遊だった。

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