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 一方、弓削がブチ切れたのを知らない龍嗣は、璃音を優しく抱きしめながら一生懸命なだめていた。 「璃音、体を洗ってもいいか?」 「………ダメ…」  いつもは素直に龍嗣に全身を洗って貰う璃音だが、体を硬くしたまま拒否している。  口の両端は血が滲んでいるし、頬は真っ赤な手形がついていて痛々しい。  しかも、体のあちこちに散る、龍嗣の物とは違うキスマークや噛み傷…。  無理矢理挿入された後蕾からは、まだ少し血が流れ落ちているというのに、龍嗣の手を拒み続けていた。 「璃音、風邪を引くだろう?  ゴシゴシ擦らないから、洗わせてくれないか?」 「………や。  自分で…洗う…」 「わかった。  だけど、体の傷は私が手当てするからな?」 「………」  無言でボディーソープを泡立てたスポンジを受け取り、腕を擦る。  ゴシゴシ、ゴシゴシ…。 「り、璃音っ!?」  明らかに、ゴシゴシと言うよりゴリゴリと擦る璃音。  瑠維が触れた場所を力いっぱい擦るので、皮膚に薄く血が滲んでいるくらいだ。 「璃音、擦り過ぎだ。  それじゃ皮膚が傷んでしまうぞ?」 「傷んでもいいもんっ!!  瑠維に触られたトコなんか、剥がれちゃえばいいんだっ!!  こんな気持ち悪いの、全部、全部…っ!!」  歯を食いしばりながらガリガリ擦る手を掴み、龍嗣はスポンジを取り上げた。 「こらこら。  せっかく綺麗な真珠みたいな肌なのに、わざわざ傷をつけるんじゃない。  スベスベしててモチ肌で、私は璃音の肌がお気に入りなんだぞ?」 「こんな汚れた肌なんか、龍嗣に触ってもらえる訳ないよっ!!  龍嗣だけに…、龍嗣だけのなのにっ、あんなコトされて…っ!!」 「触るかどうかは、私の気持ち次第だろ?  というか、今だってベタベタと触る気でいるのに」  スポンジを改めて泡立て、龍嗣はそうっと璃音が見える場所から優しく擦る。 「ほぅら…、いつものお気に入りのボディーソープだぞ?  泡塗れの璃音は、やっぱり可愛いな…」 「………可愛く……ないもん…」  バスタブの縁に腰掛けた龍嗣は、泡だらけの璃音を足の間に誘導し、傷に染みないようにシャワーを当てた。  泡が洗い流され、改めて肌に残る痕の痛々しさが浮き彫りになる。  いたたまれないでいる璃音を膝に載せ、龍嗣は薄い背中に手を当てた。

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