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「やめて、龍嗣…。
触んないで…、僕なんかに触れたら、龍嗣が汚れちゃう………」
「君が汚れてる?
そんな訳ないだろ?
璃音はいつだって可愛いし、綺麗だ」
額に口づけを落とし、やんわりと抱きしめる。
優しく触れる度にビクリと震える璃音があまりに痛々しくて、龍嗣は額同士を擦り合わせてから、軽く唇を契った。
ほろ。
「………っ!!」
ほろほろほろ…。
固まった表情のまま、璃音はボロボロと涙を零す。
「璃音…、どんな璃音でも、私の大事な璃音だよ
「………」
「璃音…、体が冷えてしまうから、バスタブに入ろうか…?」
身を固くした璃音を横抱きにし、少し温めの湯に浸かる。
甘えるように膝を割ってしがみついてくるのが常だが、今日はピッタリ閉じたままで大人しい。
いや、怯えていると言った方が正しいのかも知れない。
「…あ……っ!!」
ひくん、と。
何かに怯えるような、痛みに弾かれるような身じろぎを璃音がした。
「…痛むか…?」
「………ひ…あっ!!」 双丘の中央…後蕾を庇うようにしなやかな指が添えられて、璃音は背中を弓なりに反らす。
龍嗣の指が与える微かな官能と、散らされてしまった罪悪感。
そして、無理矢理に捩じ込まれた傷口の痛みがないまぜになって、背筋を駆け上がって行ったからだ。
指に触れる後蕾は腫れていて、いつもと少し違う感触を覚える場所は、明らかにお湯とは違うぬめりがあり、未だ出血をしているのだと解る。
『やっぱり、傷が…』
なるべく染みないように、だが、傷口に障りが無いように龍嗣は後蕾を指の腹で押さえた。
「やめて…、そこ…、や…っ」
カタカタ震えているのに、体を離そうとする璃音。
「…染みて痛いだろう?
上がるまでの間だけ、指で押さえるだけだ」
「でも、洗わなきゃ…」
中に出された瑠維の精を掻き出したいのだ。
だが、随分傷付いてもいるし、怖くもある。
「私が綺麗にしような…」
「………いや…ッ!!」
ツプリと、軽く指を当てた瞬間、璃音がビクリとし、ガタガタ震え出す。
堪え難い痛みと瑠維に無理強いされた恐怖が蘇り、龍嗣が当てた指すらも恐ろしく感じるのだろう。
「大丈夫。
中を綺麗にするだけだよ?
ほぅら…、私の長い指の方が早く済む…」
龍嗣は、璃音が落ち着くようにと静かに囁いた。
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