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一撃必殺でありながら、相手に与えるダメージは最小限。
ただし、確実に急所を押さえた反撃なので、暫く身動きが取れない…。
動画の中の璃音は、流れるような…フワリと舞うような動きをしていた。
「忍は大抵の武術も網羅してるし、マーシャルアーツもマスターしてる。
なのに、璃音は手合わせの度に忍を負かしてたらしいぜ。
俺も一度拝ませて貰ったけど、手加減せずに掛かって負けた忍を初めて見たしな。
あの大人しそうな顔をしたガキに、大の大人が束になっても敵わないってのは俺も驚いた。
相手の勢いを使う体術だったから、成長したらどう化けてたんだか…」
小鳥遊も、苦笑いしてみせる。
「嘘だろ…?
何かの合成画像じゃないのかよ…」
俄かに信じ難い動画を次々見せられて、瑠維は顔色を無くしている。
「嘘じゃない。
数年間アメリカに留学する予定だったし、元々襲われやすい条件を備えていたから、鬼夜叉が体術を仕込んでいたんだ。
一生あっちで暮らす事になるかもしれないなら、確実に身を守れるように。
手加減無しで、本気で手合わせしても勝てなかった位だった。
解ったか?
理性を無くしたあれが、どれだけ危険なのかを…。
あれは、穏やかな仮面の下に獣を飼っているような子供だ。
小さくても、鬼夜叉と同じく危険極まりない肉食獸。
油断して近付けば、確実に命を落とすからな…?」
弓削の言葉に、瑠維は冷や汗が噴き出していた。
「これを見てみな」
小鳥遊が差し出したタブレットの画面。
そこには、璃音を幾重にも取り囲む、屈強な男達がいる。
「警視庁の、腕利き50人だ。
機動隊っつーより、対テロの方の…所謂SATの兄さん達だった。
こん時ゃ、俺も立ち会ったが………、目を疑ったぜ」
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