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「ん?」  小鳥遊は、ジーンズに突っ込んだ携帯を引っ張り出した。 『メール着信・鬼畜眼鏡』とある。  言わずもがな、弓削の事だ。 『同じ家の中にいてメールってな、どういうこったよ…』  一応、瑠維から見えないようにしてからメールを開く。 『今から、込み入った話しを流す。  直情馬鹿には見えないようにしろ』と書かれていた。 『了解。  大丈夫、ソファの上でうたた寝してるぜ』と返信する。  程なくして、メールが来た。 『先に言っておく、読んでも顔色を変えるな。  声にも出すな。  落ち着いて読め。  鬼夜叉と晶が生きていた』 「………?」  小鳥遊の目が点になった。 『何の冗談だよ、オイ』と返信する。 『あの事故で二人とも重傷を負った後、壊れた瑠維の目を逸らす為に死んだ事にして潜伏していたそうだ。  本家の爺と璃音も、口裏合わせてな。  で…、何気にエロ魔神が璃音の携帯を弄っていたら、晶の携帯に繋がったらしい。  一応、録音した会話を聞いたが、間違い無く晶の声だった』 『…鈍臭えと思ってたが、やるな、エロ魔神』 『鬼も体調が整って来たから、動けるらしい。  璃音を回復させる為に、夕方北海道から発ってくる。  俺は二人…、いや、双子を含めて四人を迎えに行き、氷室の屋敷へ回る。  あれの回復次第によるが、時間を掛けて馴染ませる余裕が無くなるかもしれない。  近い内に、完全に落とさねばならない状態になったと思っていい。  …どうする?  お前と俺、どちらが直情馬鹿を噛む?  それも決めねばならないぞ。  一応、鬼夜叉達にも確認を取るが…』 「………」  顔色一つ変えずに、内容をもう一度読み返してから返信する。 『とりあえず、璃音を優先しようぜ。  んで、鬼夜叉達の意志の確認を貰ってからになるだろうけど、噛むのは俺か?  つか、俺一人が噛んで間に合うのか自信が無ぇな。  そん時ゃ、お前も噛めよ?』 『お前と伴侶を共有か…?  御免被りたい所だが、勝算の見込みが無いなら仕方ない。  今夜は遅くなる。  最終的な判断は持ち越すにしても、ある程度は詰めておかねばならないだろうな…。  一応、腹積もりしておいてくれ』 『了解。  鬼と伴侶によろしくな』  複雑極まる心持ちのまま、小鳥遊は送信を終えた。

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