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 とす…っ。  軽く振るった手刀が龍嗣の首筋に落とされた。 「………な……っ!?」  璃音を庇うように龍嗣はベッドに倒れ込む。 「………っ」  カクリと意識を失った龍嗣と虚ろな顔の璃音に毛布をかけ、千尋は璃音の瞼を塞いだ。 「貴方も寝なさい」  首筋を軽く押さえると、璃音もゆっくり目を閉じた。 「力づくなのはあんまり好きじゃないけど、こういう時は仕方ないものね…。  これでいいんでしょう?」 「ああ。  有り難う、千尋。  これで少しは体力を温存出来るだろう。  さ、リビングに行こうか」 「はい」  寝かしつけと言うよりは、龍嗣を無理矢理気絶させて、白川親子は部屋を後にする。 「成る程…、こういう手もあったか…」  千尋の見事な手刀を見て、亮も感心しきりだ。 「とりあえず、何時間かでも眠れば璃音くんのご両親が着くまでの時間稼ぎになるだろう。  あれこれ考えて焦れ焦れするより、眠って体力を戻すのも大事だからね…。  一応、寝かしつけ係りに千尋を置いていく。ダイブの時に璃音くんが暴れた時は、上手に押さえつける事が出来ると思う。  一応、ダイブする時には私もバイタルチェックを兼ねて立ち会うから、連絡を貰えると助かる。  じゃ、宜しく…」 「は、はい。  ありがとうございました」  足取りも軽く白川は帰っていく。  非常識がまかり通る氷室家のホームドクターも、実は中々の狸だったのだと亮は思った。

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