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「そういえば…」
「ん?」
「なんで瑠維に一服盛られたんだ?
ダイバーと渡りなら、瑠維の中も覗ける筈だろう?」
龍嗣の何気ない問いに、弓削もドキリとする。
「覗けないんだ、瑠維は。
小さい時から何度も試したんだけど、どっちもダメだったんだよ」
「覗けない?」
「夢に関わる能力を持ってる人間には潜れないし、覗けない。
一部は覗けるけど、それも少しというか端っこ位なんだ」
「じゃあ、瑠維は?」
「ダイバー、繋ぎ、渡りのどれか…。
若しくは、それだけ意思が固いかだね。
多分、璃音への執着が強かったから、後者だと思う。
今、忍と玲が瑠維の執着を削ってるから、いずれ潜れるようになると思うけど…」
「執着を…どうやって削るんだ…?」
傍らに立つ弓削を見ると、複雑な顔をしている。
「弓削?」
「要は、瑠維様が璃音様にした事と似たようなものです。
私と玲で嬲るだけ嬲り、精を注ぎ、私達の体に馴染ませます。
求愛相手以外に嬲られれば精神面が揺らぎますから、そこを狙って一気に陥落させます。
鬼夜叉から許可を貰いましたので、多少手荒な調教をする事になるでしょうね…」
「調……」
弓削の言葉とも思えなかったので、龍嗣は一瞬固まった。
「ま、一族きっての下半身暴走男と鬼畜眼鏡ですから、余計な手間をかけさせた分、じっくり嬲ってやろうと思います。
頑張って攻略しますが、少し時間がかかるかもしれません。
そこは、お許し下さい」
「いいのか?」
「はい?」
「弓削も璃音に求愛した一人なんだろう?
焦がれた相手以外と体を繋いで平気なのか?」
「最初は、拒否反応のようなものがありました。
今は、少し違って来ましたけれど…」
一瞬、璃音に目をやり、弓削は微かに笑った。
「多分、璃音様と番いになれば、穏やかな関係を築けます。
…しかし、私の本性は穏やかとは程遠い。
いつかは璃音様を食い殺してしまいかねません。
瑠維様のように、璃音様の自我を壊してしまうかも知れません。
…だから、求愛は解消ですね」
「………それで、本当にいいのか…?」
「ええ。
私と璃音様は最悪の相性だったのですから、これでいいと思います。
学園祭の日に、私から璃音様を振りましたし」
弓削は、吹っ切れたような笑みを浮かべた。
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