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『なっ、何するの…っ!?』  首筋を手で押さえ、璃音が真っ赤な顔をしている。 「何って、逃がすつもりがないから噛んだ」  はくっ。  ソロリ…。  今度は、反対側を甘噛みする。 『ひゃ…っ』 「こうなったら、バラバラになった一人一人を捕まえて甘噛みしてやる。  絶対逃がさないからな?  覚悟しておくんだぞ?」  悪戯っぽい笑みを浮かべた後、龍嗣は璃音の唇を塞いだ。 『きゃーっ!!  そんなベロチュー、パパたちもしないわよ~っ!!』 「あ、すまん」  ひたすら恐縮する龍嗣の腕の中で、璃音がくったりとなった。 『りょーたん、さっきのおはなのなかに、りぃたんをかくしてくれる?』 「…なんでだ?」 『それね、パパがつくったの。  そこにいれば、りぃたんがにげられないから…』 「そ、そうなのか…。  じゃあ、戻しておく」  くったりした璃音を戻し、もう一度唇を契る。 「全部捕まえるまで、いい子にして待ってるんだぞ?」 『……はい…』  璃音に花を被せ、龍嗣は立ち上がった。 「雲母(きらら)」 『なあに?』 「君の方は大丈夫か?  夢を繋いでいるなら、君にも負担がかかってるだろう?」 『うーん、そうでもないよ。  だって、りぃたんは、りょーたんをまってたんだもん。  だからね、ぜんぜんていこうがないの。  まだまだだいじょうぶだから、りぃたんをつかまえよう?』 「解った。  でも、辛かったら直ぐに言ってくれ」 『うん…』 「じゃあ、次の璃音を探そうか…」  振り返った先には、さっきよりも小さい璃音がいた。 『はうっ!?』 「逃がさんっ!!」  龍嗣が全速力で駆けていき、あっという間に璃音を捕まえる。 「璃音、逃がさないと言ったろ?」 『ひあああんっ!!』  問答無用で首筋を噛んだ。 『りょーたん、こわい…』  雲母に助けられながら、龍嗣は璃音を捕まえては甘噛みをした。  なるべくはぐれてしまわないよう、捕まえた璃音を一カ所に固めるのも忘れない。 『りょーたん、こんどはひだりにいるよ…』 「了解」捕まえては甘噛みし、動けなくなるように唇を契る。  龍嗣に対しては少しも抵抗する事なく、璃音は捕まった。 『りぃたん、ほんとにりょーたんがすきなんだね…』  余りに素直な璃音に、雲母も絶句していた。

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