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『りょーたん』
「ん?どうした?」
『あのね、あんまりおなじばしょに、りぃたんをかためないほうがいいかも。
ちかくに、おはなのかたまりがないかなぁ…?』
見回すと、確かに花の塊がある。
「雲母、あるぞ。
一応、中を確かめよう。
お………? ここにもいた」
『ひぁ……っ!!』
掻き分けて、中にいた璃音を捕獲し首筋を甘噛みする。
くったりとなった璃音の隣に何人かの璃音を座らせ、龍嗣は花を元に戻した。
「これでいいか?」
『うん。
そしたらね、これつかって』
中空に、ヒラリとリボンが舞う。
「………?」
『それね、パパやママに見えるようになってるの。
りぃたんをいれたところにむすべば、めじるしになるから…』
「なるほどな…」
『でね、それをパパたちにおしえてあげてね。
わたしからは、おしえてあげられないから』
「あ…、そうか。
夢に関する能力を持ってる同士は、ダイブしたり出来ないんだったな…。
解った。
君のパパ達に伝えておくよ」
『おねがいね。
じゃ、つづきはあしたにする?』
「ああ。
ありがとう、雲母。
一応、荊櫻と晶にも確認を取ってみる。
いつもの君に、普通に話し掛けても大丈夫かい?」
『うん。
"あー"とか"だうー"しかしゃべれないけど、いいよっていうときは、りょーたんのふくとか、ゆびをつかんであいずするね』
「解った」
小さな紅葉のような手が触れたと思った瞬間、龍嗣は意識が自分の中へと戻った気がした。
「………っ」
足がびくりと震え、龍嗣は目覚めた。
ベッドの上には璃音がおり、その両脇には双子がいる。
「夢…か?」
「だーうー」
「………」
半信半疑のまま、雲母の頬を指で軽く突いてみた。
「………雲母、さっきの事は本当の事かい?」
「えうー」
きゅ。
小さな手が、龍嗣の指を掴んだ。
「さっきの事は、気のせいだよな?」
今度は、指を離す。
「璃音を捕まえたのは、本当の事なんだな?」
きゅ。
「…参ったな。
君の両親にちゃんと話さないとな」
「あうー」
夢ではない。
雲母は確かに龍嗣の言葉に反応している。
それは、璃音の心を繋ぎ合わせる事が、より好転したと言える。
望みは決して絶たれていなかった。
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