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丁度龍嗣が立ち上がった時、晶と荊櫻が入ってきた。
二人とも少し疲れの色が見え始めている。
「珍しいな、龍嗣が居眠りなんてさ。
あんまり気持ち良さそうだったから、そのままにしちゃったけど…」
「…すまん…。つい…な」
「いいんだよ。
定期的にマッサージしてるだけでも疲れるだろ?
それに、龍嗣に触れられてる璃音は、なんだか幸せそうだし。
寄り添って寝てるとこなんか、微笑ましい感じだったよ」
ニコニコしている晶の隣で、微妙な顔をしている荊櫻。
「………?
どうした、いかにも言いにくそうな顔をして。
そんなに姑が怖いか?」
「………自分より年下の女性を姑呼ばわりするのはどうかな…。
ま、それは置いといて…。
さっき、うたた寝している間に、璃音の中に連れて行かれた」
「「は………?」」
あんぐりと口を開ける水上夫妻。
「嘘じゃない。
小さい姿の璃音に会ってきたんだ」
「………っ!!
さあ吐け、すぐ吐け、今すぐ吐けっ!!
誰がお前を璃音に繋いだ!?
素直に吐かんと、水中バックドロップを食らわすぞッ!!」
龍嗣の胸倉を掴み、前後に激しく揺さぶる荊櫻。
「待て、待てと言うのにっ。
素直に言うから落ち着いてくれっ!!
繋いでくれたのは、雲母だっ!!」
「「…………は?」」
「信じ難いのは解る。
だが、確かに繋いでくれたのは雲母なんだ。
隠れている璃音を捜すのを手伝ってくれて、動けなくした後、隠した場所に目印をつけさせたんだ。
そうだな?雲母?」
「えうー」
璃音の横で、ニコニコしている雲母を、晶が抱き上げた。
「雲母、本当かい?」
「あうー」
龍嗣に手を伸ばし、じたじたする。
「さっき、合図を決めた。
雲母にとって正しい答えなら指を握る、違ったら離す…そう決めた。
そうだな?雲母。」
「えうー」
きゅ。
雲母は龍嗣の指を握る。
「さっきのは気のせいか?」
「だぁうー」
指を離す。
「君を抱っこしてるのは、パパだな?」
「きゃあうー」
きゅ。
再び指を握った。
「………参ったな…。
意外に近い所に繋ぎがいたなんて…。
雲母、パパとママが璃音の中にいる時に、龍嗣を繋ぐ事は出来るかい?」
「あいー」
きゅうっ。
今度は、晶の指をキツく握る。
「晶、これならどうにかなるかもしれんぞ?」
荊櫻の瞳が煌めいた。
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