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事態は思わぬ方向から好転するものなのか?
龍嗣も水上夫妻も、驚くしかない。
「一応、雲母に繋がせたんだが、瑠維の馴染みの度合いも掴めた。
ほぼ9割近く馴染んできてる。
ほぼ落としかけているから、今夜首筋を甘噛みするそうだ」
「んー……?
荊櫻、あの二人のうち、どっちが噛むんだい?」
「どっちも」
「はい……?」
「一人一人で責めても効果が薄いから、どうしても璃音への執着が削れないんだと。
だから、意識が飛ぶ瞬間に二人同時に噛む事にしたと言ってた。
忍は璃音を便宜上振ってるし、玲も落とし甲斐があるから、瑠維の伴侶になっても構わない…つか、予想外に執着が深かったから調教するのが楽しいとか言ってた。
俗に言う所の"ミイラ取りがミイラ"…か?」
身も蓋も無い言い方に、流石の荊櫻も頭痛がするようだ。
璃音は年の差のあるエロ魔神と番いになり、瑠維は瑠維で二人伴侶だ。
異例尽くしということもあるが、無難な相手と番いになって欲しいという、荊櫻の願いとは真逆な方向に暴走する事態。
あまり嬉しくはないようだ。
「…荊櫻の願いとは真逆かもしれないけど、最も深く愛し合える相手と伴侶なら、別にいいんじゃないかい?
父親としては、それでいいと思うけどね」
「晶がそれでいいなら、いいけど…」
複雑な顔の荊櫻は、下を向いた。
「いずれにせよ、今日明日で瑠維は落ちる。
あの二人に馴染んだ後で、璃音の自我を縫い合わせてやればいいんだろう?
暫くは、二人をこのまま隔離したままで様子を見ようよ」
「ここ三日が正念場だな。
エロ魔神、お前にも手伝ってもらうからな?」
「ああ。
可愛い花嫁を元に戻して貰えるなら、どんな協力も厭わない。
始める前に、計画を教えてくれればその通りにする」
「璃音の中を確認してきてからになるが、明日は出来るだけ璃音を捕獲する。
あれを捕獲するのは正直骨が折れる。
巧妙に隠れてるし、意外にすばしっこい…。
見つからない時は、エロ魔神を囮にする。
捕まえるだけ捕まえて、固めておくんだ。
いいな?」
「私は君達に従うだけだから、依存はない。
取り敢えず、今夜は明日に備えて英気を養う事にする…。
そういうことにしようか?」
「ああ」
ここ数日の強行軍の疲れもあり、早めに休む事となった。
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