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永遠に龍嗣を愛してる

「瑠維が完全に墜ちたよ…」  雲母(きらら)に夢繋ぎしてもらい、瑠維の心を覗いた晶は複雑な面持ちで告げた。 「あの二人に甘噛みされて、瑠維も噛み返したみたいだ。  忍と玲が瑠維に向けた愛情は凄く深かったみたいでね、瑠維の中にあった闇が塞がれてた。  もう、璃音への執着は霧散してたよ」 「そうか…」  意識の無いままの璃音を囲み、龍嗣、晶、荊櫻、雲母が目配せをしあう。 「あらかたの自我は捕まえた。  私はある程度のサイズに自我を固めるから、晶と雲母、エロ魔神はまだ隠れてる奴を捜す。  完全に縫い合わせるのは、それからだ…。  とりあえず、今夜は休もう」 「「わかった」」  龍嗣が頷くと、雲母を抱いた晶と荊櫻が部屋を後にした。  砕け散った璃音の自我は、龍嗣が捜し出して荊櫻が少しずつ繋ぎ合わせた。  青いバラの中に自我を一人一人隔離し、様子を見てきたのだが…。  肝心の璃音が見つからないのだ。  龍嗣に対する恋慕の情を抱いた自我が、どうしても見つからない。  荊櫻も龍嗣も焦っていた。  自我をすべて見つけて寄り合わせてこそ、統合は成立する。  不完全な統合は、歪みを作り出してしまうからだ…。  横たわる璃音の額に口づけ、龍嗣はそっと呟いた。 「なあ…、私は璃音の声が聞きたい。  璃音の笑顔が見たい。  璃音の肌に触れて、至上の悦びを味わいたい…。  私が酷い我が儘持ちなのを、君は忘れてしまったか…?  さあ、璃音、戻っておいで…。  でないと、私は焦がれて焦がれて壊れてしまいそうだ…」  少しやつれてしまった頬に触れると、知らず知らずの内に涙が零れる。  あの日、思った通りにしていたなら、今も璃音は微笑んでくれていた筈だったのに。  離れ難くしていた小さな手を握ったまま、氷室重工本社に連れて行ったなら…。  きっと、最悪の事態は避けられていた筈なのだと、悔やむばかりだ。 「璃音、私を呼んでくれ。  寝ぼけた声も、甘える声も、トロトロに蕩ける声も…。  全部聞けないままじゃ、狂ってしまいそうだ…。  璃音以外、私を蕩けさせる物好きはいないんだからな?  帰ってきてくれ。  お願いだ…」  華奢な体を抱きしめ、腕の中に包み込む。  いつ目覚めても良いように、今夜も龍嗣は腕枕をしてから毛布をかけた。

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