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 濃淡のブルーの世界は異質な蔓が蔓延っていた。  鋭い棘が沢山生えた蔓は、ザワザワと音を立てて何かを締め上げている。  蔓の隙間から、何かがだらりと垂れ下がり、紅い雫がこぼれ落ちた。  ひとん。  ひとん。  ぱっくりと開いた場所から、深紅の雫が落ちる。 「………あれは………っ!!」  龍嗣には、見覚えがあった。  中指に、微かに出来たペンダコ…。 「璃音ッ!!」  複雑に絡み合った蔓の中から垂れていたのは、璃音の腕だ。  今まで、巧妙に隠れていた自我の核…。  それが、鋭い棘だらけの蔓に全身を搦め捕られていたのだ。 「あの蛇のような模様は、この蔓か…っ!?」  苛立ち紛れに駆け寄り、龍嗣は蔓をひっつかむ。 「………は…?」  途端に、蔓から棘がポロポロ落ちていく。  まるで、龍嗣だけを傷つけないようにしているのか、触れた場所の棘が外れて落ち、霧散していくのだ。 「呆れた奴だ。  自殺しかけているのに、お前だけは傷つけまいとするなんて…」  ため息を漏らしているのは、呆れた顔をした荊櫻だ。 「そんな健気っぷりに、メロメロにされた。  余りに可愛すぎて、閉じ込めてやろうかと何度思ったか…」 「若年者に対する淫行の他に、監禁までする気か?  正気で言ってるとは思えんな」 「おや、ここまで純真無垢で健気に育ててくれた君ら両親の賜物だぞ?  可愛らしくて素直、争い事を好まず、しかも有能ときてる。  腕の中に囲い込むか、セキュリティの行き届いた部屋に閉じ込めておいて、誰の目にも触れさせたくないと思うのが普通じゃないか」  蔓を次々解しながら、龍嗣はニヤリと笑ってみせる。 「躯を繋ぐ意味を知らない、ただの初な子供なのに、エロ魔神のお前が満足できるのか?」 「………何も知らないからいいんじゃないか。  私が教えた通りの事が璃音の常識になっていくんだ。  少しずつ、私好みの可愛い伴侶に育っていく楽しみが堪らないんだぞ?  それに、"龍嗣好みのやらしいカラダになりたい"って言われたなら、そりゃ、堪らないだろう?」  がっつかれた璃音が、伴侶に対して漏らした一言を聞き、荊櫻は眉をしかめるしかない。 「………。  コイツ…、意識が戻ったら説教決定だ」  蔓の中の璃音を見ながら、荊櫻が呟いた。

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