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「嬉しい…。
ありがとう…ぼく、絶対忘れないよ。
それとね」
視線を横に向け、本体の自我を見詰めた。
「この人は、どんなに汚されたとしても離れて行かないよ。
死ぬまで………ううん、死んでしまっても、深い愛情を向けてくれるよ。
なのに、肝心な僕が怖がってちゃダメだと思うんだ。
いっぱい好きになって、気持ち伝えて、尽くしまくって、大事にしちゃおうね…」
「うん…」
「じゃあ、ぼく、戻るね」
「ん…」
「じゃ、さよなら。
今度は、目が醒めてから会おうね」
小さな璃音が本体に抱きつき、龍嗣に一言告げると………ゆっくり溶け込んでいった。
「ったく…、親を無視か…」
呆れた荊櫻は、腰に手を当てて残った璃音を見詰める。
「………どうだ?」
「………大丈夫…、多分………」
完全に一つにまとまった自我の璃音は、手をパタパタさせたり、少し落ち着かない様子だ。
「どうした?」
「ひゃっ!!」
龍嗣に触れられて、ビクビクと震えてしまう。
「欠片の言う通り、今までより愛情の度合いが違うみたいだな。」
荊櫻が複雑そうな顔で笑う。
「本当に困った奴だな。
好き過ぎて、目が醒めたとたんにエロ魔神に襲いかかるなよ?
じゃあ、私は先に戻っておくからな」
「「え……?」」
「お前たちのイチャつきっぷりまで見せられてたまるか。
まだ結婚を許した訳でもないしな。
晶は、璃音がエロ魔神と番いになったのが嬉しいって喜んでたが…。
どっちみち、なし崩しに許す形になるだろうけど、璃音は高校生にもならない子供だから、私は複雑な気持ちだってことは覚えておけ。
ああ。
エロ魔神を中継してるのは雲母と翡翠だからな、あんまりいかがわしい真似はするなよ?
赤ん坊に見せられないような事は、教育上よろしくないからな。
わかったな?」
フワリと笑い、荊櫻が帰っていった。
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