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 龍嗣が帰っていき、璃音は一人佇む。  鋭い棘だらけの荊は消え去り、辺りを埋め尽くすのは、濃淡様々な青いバラだ。  明るい空色、海の色、紺色、藍色、瑠璃色…。  青い色素が無い事から、不可能の象徴とされてきた青い花。  以前の花言葉は『不可能』。  そして、いまの花言葉は『夢叶う』…。  幼く、疎く、龍嗣との間には愛情を形成する事は、文字通り不可能だと言われてきた。  その自分が…。  汚されてもなお、望まれたことは、本当に嬉しかった。  最愛の龍嗣から還って来いと命じられ、心の底から悦びが沸き上がる。 「もう、会えないって…、合わせる顔が無いって思ってたのに…。  永久に愛してるって言われて、本当に僕…嬉しかったよ、龍嗣…」  舞い上がった花びらが飛んで行った先を見つめ、ざわつく胸をおさえてみる。 「僕が怖がってちゃ、ダメなんだよね…」  危険を冒して来てくれた伴侶と、家族の気持ちを無駄にしてはいけない…。  あとは、自分が踏み出すだけなのだと、璃音は再び空を見上げた。

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