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「写真を預かってきたけど、見るかい?」
「…?」
「いまの瑠維や弓削、小鳥遊さんの写真なんだけどな」
"瑠維"と聞いただけで、心臓がバクリと跳ねた。
『コワイ…。 ……イヤ…』
自分を嬲った相手の顔を見るのは、本当に怖くて仕方ない。
だが、弓削と小鳥遊の事も気になる…。
「う…ん」
「どうぞ」
手渡されたタブレット端末の画面に映し出されたのは、確かに弓削や小鳥遊だ。
璃音に向けてくれていたような表情を、腕の中に抱き込んだ瑠維に向けている。
むくれた表情をしていた筈の瑠維が、次第に表情を変え、口づけを受け入れ、蕩けるような顔になっていく。
誰の想いも受け入れなかった瑠維が、弓削と小鳥遊に愛されて幸せな表情になっている。
自分が知る瑠維より、面差しが少し変わったような気がした。
「動画も幾つか入っていたよ。
見てごらん」
「…うん」
動画を起動すると、初めに弓削が映った。
『玲、ホントに録画出来てるんだろうな…?
お前は、医者の癖に機械音痴だから…』
『うっせえな、ちゃんと映ってるから心配すんな。
ほら、さっさと喋れよ』
『こほん。
あー…、あの、璃音様?
ホントに映っておりますか?
弓削でございますよ?』
「映ってるよ、弓削さん」
可笑しくて、つい笑ってしまう。
『お目覚めになられたと聞き、弓削は嬉しいです。
いきなり、私と玲が伴侶を決めた件、驚かれたと思います』
「………ん。
すごく、驚いたよ…」
『最初は、あの直情バカ…、いえ、瑠維にお仕置きをしておりました。
その過程で、少しずつ気持ちが傾いて行ったのです。
決して、誰かに強要された訳でも、貴方を振って情緒不安定になった訳でもないんです』
穏やかな顔は、以前璃音へ向けてくれたものと幾分違う。
『素直で一途な貴方を、生涯かけて大事にしたいと願った事、今も後悔しておりません。
その気持ちを、瑠維へ向けてしまった事…、お許し下さいますか』
「弓削さんが、本当に幸せなら…それでいいよ…」
ふっ切れたような笑顔は、今の弓削が幸せなのだと物語る。
自分が受け入れる事が出来なかった想いを、受け取る相手が出来た…。
確かに、複雑な思いはあるけれど、それを祝福したいという気持ちもある。
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