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 開腹手術が始まった。  ここからは時間との勝負になる。  手術が進んで行き、小さい方の赤ん坊が取り上げられた。 「玲、人工羊膜で受け止めるよ」 「おう…」  ロボットアームに乗せられた透明なバッグに赤ん坊を受け止めると、一部が開いて中へ受け入れた。  さっきまでいた荊櫻の子宮の中と同じ成分の羊水が満たされていて、拒絶反応が起きないようになっている。  また、その中は取り込む明かりが調整されて、赤ん坊の目に異常が起きないようになっていた。  未熟児網膜症を起こさないようにする為だ。  小鳥遊は胎盤にあたる部分から人工血管を伸ばし、臍の緒と繋げて同化させた。  その間に人工子宮の中に羊膜バッグが取り込まれ、胎盤にバイタルラインが繋がれる。  バッグの周りにも羊水が満たされ、まるでシャボン玉の中に赤ん坊が浮いているようにも見えた。  上から伸びてきたアタッチメントがカテーテルを血管の中へと通して行く。 「璃音、血管広げたぜ」 『うん。  後は、任せ…、……っ』  後は、任せてと言おうとした璃音は固まった。  何気なく見た父の横に、瑠維が立っているのが見えたからだ。  ドク…ッ!!  心臓が跳ね。  ズクリ…ッ  記憶の奥底へ沈めた筈の痛みと恐怖が体を駆け抜けていく。  ずりゅっ。  解しもしないまま貫かれた感覚が蘇る。 『うぁ…、あああ――っ!!  痛い…っ、痛いよ、やめて…、瑠維、そこはイヤだ…  龍嗣だけの…っ』 『五月蝿いな、お前』  ばしいっ!! 『ここは、エロ魔神の為のじゃないだろ?  兄ちゃんの、だろ?  きつくて暖かくて、キュウっと締め付けてくる、璃音が兄ちゃんだけを受け入れる場所なんだ。  ほらぁ…、今は血が出ちゃってるけど、だんだん兄ちゃんのでトロトロになる…』 『ヤ…だぁ………ッ、も…やだ…、やめて、やめてよ、痛い、痛いよ瑠維…っ』 『ふ…っ、キツくて凄くイイよ、璃音。  なぁ、兄ちゃんの、気持ちイイだろぉ?  ほら…、兄ちゃんの凄い硬くなってきた。  熱くて気持ち良いぞ?  たっぷり注いでやるからな?』 『イヤ…、嫌だ…』 『くふ……ッ』  ビュルッ!! 『嫌…、嫌だ………っ  やぁああ――――――ッ!!』  強烈なフラッシュバックが一気に襲い掛かってきた。

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