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式は、普通の神前結婚と似ていた。
当主が参列者全員のお祓いをし、祝詞を唱え…。
龍嗣が注がれた神酒を飲み干し、璃音に盃を手渡した。
受けとった璃音の盃には神酒に見立てたものが注がれ、三度に分けて飲み干す。
次の盃は、璃音から龍嗣へ手渡され。
三つめの盃は、龍嗣から璃音へと手渡された。
三々九度の途中、涙腺が緩みっぱなしの晶が早くも涙ぐみはじめて。
ようやく結婚式を迎えた二人を見て、参列していた瑠維がほろほろ涙を零し、弓削と小鳥遊が涙を拭いてやっている。
苦笑を零した荊櫻は、泣き出した晶にハンカチを手渡し。
移り気で落ち着きの無かった息子に気を揉んでいた龍嗣の両親は、(息子と性別は同じでも)永久の伴侶を得た事に、ホッと胸を撫で下ろした…。
次いで、本家当主が結婚指輪を二人に差し出た。
璃音の指に龍嗣が指輪を嵌める。
緊張してカタカタ震えながらも、スルリと収まった。
龍嗣の指に璃音が指輪を嵌める。
…が。昨夜、瑠維達の酒盛りに付き合わされた龍嗣の指に中々指輪が嵌まらず、式場の中に温かな笑いが漏れ、微笑ましい雰囲気になる一幕もあった。
そして、誓嗣…誓いの言葉を龍嗣が読み上げた。
型通りの言葉の後に龍嗣自身の想いも折り込まれていて、立ち会った全員が胸が熱くなる思いになり。
思わぬサプライズに、隣にいた璃音がほろほろ涙を零した。
雨の日に、水上の屋敷で果たした邂逅。
幼い頃から抱いてきた恋の成就。
不測の事態で引き裂かれかけた事もあった。
眠り続ける璃音を、献身的に看病してくれた龍嗣…。
目覚めた後も、畏縮してしまった心が開くまでずっと待ち続けてくれ…。
恐怖を克服するために、最後まで信じて支えてくれた。
そんな、全てのことが目の前に次々浮かんでくる。
胸が張り裂けてしまいそうなこともあったが、一つ一つ乗り越えてきた。
きっと、ここに辿り着く為に総て必要な事象だったのだろうと、今なら思える…。
参列した全員が幸せな気持ちになり、温かな思いを心に点すような良い式だと、当主も微笑んで二人の行く末を寿いでくれて。
滞りなく進み、龍嗣と璃音の結婚式は終わった………。
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