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「龍嗣…。
僕、そんな事言われたら、おかしくなっちゃいそう…っ」
ほんのり紅く染まった目許に口づけを落とすと、ほぅと熱い吐息が漏れる。
「仕方ないだろう?
君が余りに艶っぽくて、煽られまくってるんだから」
反対側にも同じようにした時、はらはらと涙が零れ落ち…。
その、一粒一粒すらも愛しくて、龍嗣は雫を唇を当てては吸い取った。
雫を追いかけ、耳朶を噛む。
「………はぁ……う…」
甘い吐息を漏らしながら反らした喉に、薄ピンクの色彩が見えた。
少し引き攣れたそれは、璃音が自滅しようとして付けた傷…。
まるで薔薇の蔓のような傷跡に、龍嗣は愛しげに口づけを落としていく。
チュ…ッ。
「ああ………っ」
チリッとした痛みが走り、傷の上に証が刻まれて、華奢な躯にジワリと熱が増える。
「駄目…、そこは…、綺麗じゃないから…っ」
「そうか?
白い肌に浮き上がって、私にとっては煽るものでしかない…」
チュッ
チュ…ッ
「……あ……ッ、ああ…っ」 唇が落とされる度に刻み込まれる証は、さながら野薔薇の蕾のようだ。
少し乱れた身頃をずらし、龍嗣は胸元へも唇を落としていく。
芯が通り始めた胸の飾りを口に含み、舌で転がす。
声を噛みながら、身の内を灼く熱に堪える璃音の姿態は、実に視覚に訴えるものがあり、龍嗣自身も煽りたてられた。
帯を引き抜き着物をはだけ、ほんのり染まった肌に触れる。
昨日までの労るようなハグじゃ足りなくて、欲望を引きずり出すように唇を落とし、舌で転がして。
体のあちこちについた傷跡の一つ一つにキスを落とし、華奢な躯の中に火をつけていく…。
「…っふ、……うぁ…っ」
甘い甘い愛撫に翻弄されながらも、璃音は龍嗣の頭をかき抱き、愛しげに髪の毛を梳いた。
「………あ…んぁ…っ、…ひあ…ッ!!」
遅れていた声変わりが終わり、しっとりと落ち着いた筈の声が、あえかな響きを伴って耳を打つ。
手をずらし、熱く息づく果実に手を添えると、更に妙なる音色に変わる…。
「……龍嗣の手…、こんなに…熱かったっけ…」
「君があまりに可愛く啼くから、当てられたかもな…」
極上の獣となった璃音の腕に包まれ、龍嗣は熱い吐息を漏らした。
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