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エンド:氷谷りうの幸せの在り処2

りう:もし少しでも僕が好きなら りう:もう僕を好きでいないで      その価値がないから。榛名に好かれる価値が僕にはない。  榛名から好意を向けられるたびに自己嫌悪で苦しくなる。  僕は結局逃げたいだけ。     りう:理解をしようとしないでいいんだよ りう:僕の弱さをゆるそうとしないで      責められて当然の弱さを僕はさらけ出した。  榛名を信じ続けたり働きかけたりすることができなかった。  転入生とずっと一緒にいる榛名を思い続けて身を切り続けることが僕には出来なかった。     りう:僕はあずみくんの声しか聞こえない りう:それが答えだよ りう:あずみくんは僕を傷つけない りう:僕は僕を傷つけない人間の声しか聞こえない りう:弱くて卑怯で最低だ      榛名は何も悪くない。もし榛名がスモモくんのことを事前に僕に話してくれて、毎日僕と声をかけてくれていたのなら耳が聞こえなくなることはなかっただろう。けれど、先ほどした発言みたいに視界や香りが消えていくだけだ。榛名を感じるための器官を残して僕を傷つける僕を捨てる。     りう:榛名と一緒に居れば りう:全部を捨ててリセットできたかもしれない りう:榛名は優しいから僕を待っててくれたかもしれない りう:でも、僕はそうは出来なかった    最低の告白だけれど、あずみくんの声が聞こえて僕は嬉しかった。  無音は平穏だったけれど怖かった。  何も聞こえないのは怖かった。  さみしかった。    周りが気を遣ってくれて一人にならないようにしてくれたり今のように文字で話してくれても何も聞こえない日々は孤独だった。ずっとそばにあった音がない。  矛盾しているのは分かっている。聞こえた時に聞こえないふりをしたことだってあるのに本当に何も聞こえない状態に不安を覚える。転入生のスモモくんの言葉を無視したいけれど孤独感は味わいたくない。そんな勝手なことを思っていた。     りう:今もまだ怖くて りう:僕はずっと弱くて情けないけど りう:一歩一歩進んでいこうと思うんだ      となりにはあずみくんが居てくれる。  それだけで心は安堵に包まれて微笑むことが出来る。  あずみくんの声は僕への愛しさだけを持っていて甘やかされている。  結局、僕がそばにいてくれる相手に求めている要素が自分をお姫様のように甘やかしてくれる人なんだろう。     りう:じゃあね、榛名 りう:無視しているわけじゃないけど りう:榛名の声は僕には聞こえないと思う りう:でも、こういう形でまた話せるといいね      顔を合わせて話をするのは無理だろうけれどパソコンなどの機械越しならいいだろう。  これは浮気じゃない。会話のログは残っているのであずみくんが見たいなら読むだろう。  何もやましいことはしていない。    榛名からの返事はなかったけれど僕はいろいろと話して疲れてしまったので携帯端末の電源を落とす。  連絡の必要があったらまたメールでも何でもあるだろう。  榛名重蔵と氷谷りうは恋人同士じゃない。  風紀委員長と図書委員でもなく知人以上友人未満だ。    朝比奈あずみと氷谷りうは恋人同士じゃない。  今はまだ友人以上恋人未満。  でも、榛名と完全な区切りがついた今なら関係を進めてもいいのかもしれない。  あずみくんはいつまでだって待つと言ったけれど僕の方が待てそうにない。  わがままだから恋人という肩書きが欲しくなるのだろう。

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