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第3話ー5

「だーい!」 教室の入口から手をブンブン振ってきた翔太郎。 「はよー。元気だなお前、朝っぱらから」 「おう、ありがと!」 大きなスポーツバッグを机に置いて心配そうな表情を浮かべる。 「あの後、高橋とどうだった?」 「ん? ……あー、まぁ。悪かったな昨日は、アイス食いに行けなくて」 しかもあの収拾がつかない場所に置き去りにしてしまった。 謝罪と賠償を含め、今度昼メシを奢ってやろうと伝える。 「サンキュ!やっぱ持つべきは素敵な友人様だな!」 現金なヤツである。 「んで、どーだったんだよ?」 「どうも何も、もともと喧嘩してねーし」 「柴犬が食わないやつだろ? それは知ってるって」 「夫婦喧嘩って言いたいのか? 違うからな、色々と」 どう、と尋ねられても正確な答えは浮かばなかった。 そもそも俺たちが話さなくなったのは4日前のアレが原因で。 それについて遊矢がどう思ってるかは未だに分からなくて。 ただ帰り際の笑顔は機嫌が良さそうだったから、まぁ概ね元通りでいいんじゃねぇかって思ってる。 今日の朝は久しぶりに一緒に学校来れたし、もしかして俺がオナりながら抱かれたいなんて爆弾発言してたこと忘れてるんじゃねぇかってくらい変わらず接してくれるのだ。 聞こえてなかったのかもしれないとさえ思う。 ……てか、昨日。 俺たちまたキス、したんだよ、な…? すげぇ気持ちよかった。遊矢の舌、温かかったし、唇ふわふわマシュマロみたいだったし。 もしあの時母さんから電話が来てなかったら、俺──── 「い、……だ……、大! おい、大ってば!!」 気づけば、翔太郎に覗き込まれていた。 「あ、悪い。ぼーっとしてた」 「顔赤かったけど?」 「………赤くなんか、なってねぇ」 「いや赤いよ? 顔と首元」 ────首、元?? 「虫刺されかな」 小首を傾げながら、第一ボタンの開いたワイシャツの鎖骨付近を指先でとんとんと示された。

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