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第3話
「ね?理央君ちょっと着てみて?おねがい!」
「しょうがないな、ちょっとだけだぞ。……ほんとにちょっとだけだからな」
「やったー!やっぱり理央君優しい!大好き!」
「調子よく言いやがって…」
確信犯でえへへーと言いながら衣装を渡してくるひなたに嫌な気持ちは全くなく、むしろかわいすぎて心臓が痛いくらいだ。
「ほら、着たぞ」
「理央くん!かっこよすぎるよ!エイダン様よりその衣装似合ってるよ!」
実際に着てみるとひなたにべた褒めされた。
俺もひなたがドキ夢をやっているのを隣で見ていたのでエイダンというキャラは見たことがあるのだが、さすがにそこまで似合ってはないと思う。
アニメ絵には勝てないし、まず日本人の顔でこの服が似合わない…
きっとひなたの目にはフィルターがかかっているのだろう。
パシャパシャとカメラを向け、たまに連写をしている音もする。
「理央君、次これ着てくれる?」
「まだあったのか」
さっき見たのとは別に届いた段ボールの中からどんどんと新しい衣装が出てきた。
この感じ、まだまだ続くな…
次はこれ、次はこれ、とひなたの気が済むまで付き合ってあげると、お腹の空くころになって
やっと衣装がなくなったのか「ありがとう!」と言われ解放された。
ひなたは気が済んだようでご機嫌な様子だが俺はそうでもない。
普段ならご機嫌なひなたもかわいい、と思っているところだが今日は少しひなたにも俺の気持ちを味わってもらおうと思う…
……決して怒っているわけではない。
少し、興味があるだけだ…
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