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必死な店員さんとボク
「ここどす」
『ハダカの王様』とでかでかとカラフルな色で書かれ、金色のモールで飾り付けられた看板を見てから、中へと入っていくカニとボク。
魔女の衣装やセーラー服など入ってすぐでさえ、たくさんのコスチュームがあってびっくりする。
「これ、今日中に選べるかな……?」
日帰りだし、もし選べなかったらカニと2人きりでお出かけは不可能。
色々興味があるものばかりでどうしようかと悩んでしまうボク。
「いらっしゃいませ」
店員さんの声を聞こえたから、オススメを聞いてみようと声の方を見た瞬間……これにしようと決めた。
『虎頭』と名札を付けた店員さんが着ていたコスチュームがピッタリだったんだ。
おまけにその店員さんの髪はこげ茶、身長はちょっと高いくらいだから大丈夫だと思う。
「あの……このまま、ください!」
ボクは店員さんにしがみついてお願いする。
「いや、あの、あたしは……」
「きいちゃん、ちょっ……なにしてはるの!?」
戸惑う店員さんとなぜか引き離そうとするカニ。
「お金はいくらでも出しますから、お願いします!」
必死のあまり、猿耳が生えてきたボク。
「もう、なに!? ちょっと……店長!!」
店員さんの顔に左右から3本ずつ黒い線が浮き出てくる。
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