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ボクはΩなんだ
「はいはい、お静かに〜」
誰かが虎と猿の獣人の間に入り、熊の手で引き離された店員さんとボク。
「ダメダメお客さん、みこちゃんは僕のもんだから」
力のある若々しい声の男性が店員さんを後ろから抱きしめ、首筋に噛みつく。
「タ、ケ……ああっ」
虚ろな瞳で喘ぎ声を漏らす店員さんの姿を見て、また熱いものが沸き上がってきて、身体が痺れる。
「カニ……早く、この服買って、かえ、ろ」
「このコスチュームでええどすの?」
「いい、から」
頭もボーっとしてきたからカニにお願いする。
「すいません、この衣装の同じサイズおくれやす」
「おっ、買ってくれるの!? まいどあり!」
なんてやり取りを朧気に聞きながら、さっきの店員さんに支えられて椅子に座る。
「ヒート……ですね」
店員さんが白い錠剤1粒をボクの口に入れ、ペットボトルの水を飲ませてくれたから飲み込む。
すると、嘘のように熱いものが消え、身体が楽になった。
「お仲間ですね」
落ち着いた声で言って頭を撫でてくれる店員さんの言葉が素直に心に響く。
それは本当にΩなんだと受け入れられた気がしたんだ。
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