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かわいい生き物

すぐに着替えて静かにリビングへ行き、うつむいているけんいぬの前に立つ。 「けんじ……ワンダフルなボクを見るだワンッ♪」 高い声で言った後、両手を丸くして頬に付け、首を傾げるボク。 ゆっくりとボクを見たけんいぬは固まったようにじっと見たまま、動かない。 ボクは白くてふわふわで長い耳のカチューシャ、白い襟に赤色のリボンで膝下までの水色のスカートのセーラー服を着たんだ。 しばらくそのままだったから、ボクはダメかと思い、ため息を吐いた。 すると、けんいぬの瞳が黒くなり、耳がふわふわの黒い犬耳に変わり、息が荒くなった。 「なに、このかわいい生き物は……」 小さくつぶやいた後、大好物に飛び付くように襲いかかってきて、勢いよくボクを押し倒す。 「ちょ、けんいぬ……?」 ヴヴッと唸りながら抱きついて、ボクの両頬を包んで見つめるけんいぬ。 その瞳からは愛おしさが溢れていた。 「きいち……もう一回、けんじって呼んで?」 甘く誘う声と久しぶりの名前呼びに動悸が始まった。 「……けん、じっ!」 名前を呼び終わらないうちに唇を塞がれ、息が出来なくなる。 苦しくて小さく開いた口に自然と舌が入り、大きい前歯から奥へと歯列をなぞられ、唾液も流れていく。 「んんっ、ふっ……んっ、んっ」 ちゅぱっと離された勢いで口端から唾液が垂れる。 「かわいいよ、きいち」 潤っている下唇を膨らませたけんいぬは細くて長い人差し指でそれを絡めとり、長くて赤い舌で見せつけるように舐めとった。 それを見たら、活火山になったみたいにマグマの塊が沸き上がってきて、熱い息を何度も吐くボク。 「こんなんで欲情するなんて……まだキスしかしてないよ」 楽しみはベッドでねと白い犬耳に囁かれただけで、イきそうになったボク。 バーカと言いながらも嬉しそうなけんいぬはボクをお姫様抱っこしてリビングを出ていった。

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