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第6話

     きゅう、と軽く力を込めて摘んで引っ張れば番は大きく喘ぐ。 「気持ちいいか? 麻生」 「あ、あ……っ、ぁは、いぃっ……」  ビクビクと身体を震わせ喘ぎながらも健気に返事をする番。  山茶花が丁寧に開発した乳首の感度は番の一番の性感帯と言っていいほど良く、また毎日リップクリームを塗っているおかげでぷるぷるとしている。時間をかけた甲斐があった。  乳輪ごとふにふにと揉みこみ、先端を指で強く押しグリグリと指を動かす。番を喉を仰け反らせ「あ゛ぁ……っ」と一段と大きく喘いだ。 「はー、はーっ……ぁう……」  乳首から手を離すと番の身体は力を失ったようにくたりと山茶花にもたれ掛かる。  ひくひくと震える身体、ゆるく勃起した男性器も震えている。 「麻生はまだ精通がきていないんだったな」 「は、い……まだに、ございます……」 「はやく、くるといいな。そうすれば、ここからも摂取できるんだが」  するりと番の性器を撫で、意味ありげに舌なめずりをする。(性器に触れられて喘いでいた番は山茶花のその妖しい表情を見ることはなかったが、見なくてよかったのかもしれない。)     * * * *     「俺の場合、番の体液全てが糧になるわけなんですが」 「嫌な予感がするよ」 「オレもです」  聞きたくない、と顔を顰める彩入を無視して山茶花は続けた。 「精液を効果的に摂取する方法はなんですかね」 「廿日っ、今すぐ銀の弾丸と杭を持ってきなさい!」 「落ち着いてください彩入さんっ」 「早急にお持ちします」 「四位例さんも落ち着いてっ!」 「騒々しいですね」 「あなたのせいですからねっ?」  部屋を出ていこうとする従者を引き留めようとするが時既に遅し、魚月は山茶花に吠える。 「なんてことを言い出すんですか!」 「効果的な摂取は何かの相談をしているだけだ」 「自分の子どもの性事情を聞かされる親の気持ちにもなってくださいよっ!」  頭を抱える魚月を残念なものを見るような目で見つめる山茶花。そんな山茶花を睨みつける彩入の元へ従者は近寄った。 「彩入さま、銀の弾丸と杭です」 「ありがとう」 「本当に持ってきたんですかっ? ていうかなんであるんですかっ!」 「いざという時のために」 「えっ、待ってください。そのいざってオレですか? え? 彩入さんっ?」 「――さあ、サンザカ、覚悟おし」 「彩入さんっ?」  まるでカオス。  さすがにそのふたつを持ち込まれたら、撃ち込まれたら山茶花は滅びるため、大人しくホールドアップ。  大人しく諸手をあげる山茶花に彩入はふんっと息を荒く吐き、ふたつを従者に戻させる。 「……大体、精液なんて苦いものをなんで摂取しようだなんて……、……あぁ……」  訊いた自分が馬鹿だった。彩入は片手で顔を覆って項垂れた。 「……おまえ、まさかそこまで見越していたわけじゃなかろうね」 「さすがにここまでは」  腕を下ろした山茶花は苦笑いをし、カフェオレを飲んだ。(この家のカフェオレはとても美味しい。)味わう山茶花を夫夫は死んだ目で見つめていた。 「まるで “桃娘” ですね」 「うちの子が纏足でなくてよかったよ」 「――あぁ」 「サンサガ」 「冗談ですよ」  なるほどと言わんばかりに頷いた山茶花に彩入は鋭く名を呼ぶ。再びホールドアップ。 「本気でやめてくださいよ山茶花さん。桃の香りするだけでも結構やばいんですからね」 「さすがにそこまでする趣味はないさ」 「――――」 「――――」 「ふたりしてそんな顔して睨まないでくれます?」  じとっと。お前がそれを言うのか、と顔と目が言っている。よく似た夫夫だ。同じような顔つきで山茶花を睨んでいた。 「ふうふはよく似るとは、よく言ったものですね」 「話をそらすつもりか」 「いいえ全く。ただ、本当にそう思っただけですよ」  顔を見合わせるふたりに山茶花は笑う。 「彩入さまと坊ちゃんが似ているわけないでしょう」 「――――」  彩入のモンペはうるさかった。    

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